福島県北部にある南相馬市は、東に太平洋を望み、西側に阿武隈山地が広がる風光明媚なまち。毎年7月に行われる｢相馬野馬追｣は、千有余年の歴史を誇る日本を代表する伝統行事だ。甲冑に身を固めた400余騎の騎馬武者が疾走する甲冑競馬など、勇壮華麗な戦国絵巻が繰り広げられる。

南相馬市には、この相馬野馬追における総大将の陣所である御本陣の名を冠した地酒がある。復興に懸ける思いが相馬武士の心意気に通じることから名づけられたこの酒は、同市産の酒米を使用した、芳醇辛口で、力強い旨みとふくよかな香りを堪能できる純米酒。さらっとした飲み口も魅力だ。おいしいお酒には、おいしいおつまみも欠かせない。鰹節を練り込んだ味噌に、クリームチーズを漬け込んで低温熟成させた｢鰹出汁のクリームチーズみそ漬｣。酒粕の香りと甘みがアクセントの｢クリームチーズの純米酒粕漬｣。

まるでチーズのように滑らかな食感の｢醍醐とうふ(半丁)｣の3種がセットに。創業82年を誇る｢みそ漬処 香蔵｣の自慢の逸品とともに一献傾けてみてはいかがだろう。

｢若松味噌醤油店｣は、創業150年、江戸時代末期から続く老舗。親子二代で｢味噌製造一級技能検定｣を取得している確かな腕と伝統で、丁寧な味噌作りを続けている。

味噌のおいしさを左右する糀は、昔ながらの木箱を使った糀蓋製法による手作り。米一粒一粒に糀菌をいきわたらせることで発酵力を高め、旨みや香りをより強く引き出すことができる。

醸造は、四季の移り変わりに伴う自然の寒暖差を利用した天然醸造法だ。1年以上かけてじっくりと熟成発酵させた味噌は、芳醇な香りを放ち、実に風味豊か。

糀歩合は13割と、原料の大豆に対して米糀の割合が多いことも特徴だ。その分、上質な糀の甘みを堪能できるだろう。