福岡県の中央部に位置する田川市は古くから炭都と呼ばれ、石炭採掘のまちとして隆盛を極めた。盆踊りなどで有名な「炭坑節」発祥の地でもあり、二本煙突、伊田竪坑櫓、日本初のユネスコ世界記憶遺産に登録された「山本作兵衛翁の炭坑記録画及び記録文書」など多くの炭坑遺産が残されている。例年5月に開催される福岡県五大祭りの一つ「風治八幡宮川渡り神幸祭」は約470年の伝統を背に、二基の神輿と山笠11台が彦山川を勇壮に渡る。

同市の返礼品にはおせちが数多く並んでいる。今回は、「筑豊懐石」を継承する「料亭あおぎり」のおせちと雑煮、蕎麦を紹介しよう。

筑豊懐石とは、石炭産業が隆盛を極めていた1800年代後半に生み出された多彩な食材と調味料を創意工夫した華やかで繊細な料理だ。全国から訪れる要人に振る舞われ、富の象徴として語り継がれてきた。料亭あおぎりは、大正初期建造の庄屋造りの本館と、1934（昭和9）年に初代田川市長・林田春次郎の迎賓館として建てられた別館があり、国登録有形文化財にも指定されている。特別な空間で最高の料理を味わうことができる。

「筑豊おせち」は料理長が熟練の技を尽くし一折一折手作りする。厳選した旬の食材をぜいたくに用い、味は格別、見た目も華やかな逸品だ。なかでも国産最高級のボラのタマゴを使用し、塩に数日漬けた後に、日数をかけて酒で何度も塩抜きをした「本からすみ」は、濃厚な味わいでお正月の酒肴にふさわしい名品だ。「ローストビーフ」は、福岡県嘉麻市のブランド牛・嘉穂牛を低温でじっくり焼いた後、強火でこんがりローストし、旨みと甘みを活かした至高の味わい。丹波の黒豆を独自の製法で風味よく炊きあげたほんのり甘い「金箔黒豆」など絢爛豪華なおせちだ。寄付者から「味、品質、品ぞろえ、すべて最高！」と絶賛のコメントが届いている。

「日本各地の最高の食材を使用して、全国の懐石料理を研究し尽くした料理人がこしらえた筑豊懐石おせちをご家庭でどうぞ」（料亭あおぎり・マルボシ酢会長・星野宗広さん）。新しい年を伝承の味で迎えたい。

豪華なおせちとともに「懐石雑煮」も欠かせない。特徴は濃厚な鶏だしをベースにした旨みとコクのある黄金色のつゆ。具材には、国産の鶏肉や寒鰤、車海老、紅白市松蒲鉾、梅花人参などが入る。それぞれの素材を活かした味つけがされていて、つゆと調和した深い味わいが楽しめる。

年越し用に人気が高いのは「筑豊懐石十割蕎麦」だ。国内各地から厳選した蕎麦粉を使用し、料理長自らが丁寧に手打ちする。風味豊かで香り高く、程よいコシの蕎麦と、旨みと香りをしっかり引き出した鶏だしベースのつゆは相性抜群。一口すすれば、滑るようにのどを通り、上品で深い味わいが楽しめる。

ふるさと納税をきっかけに、唯一無二の筑豊懐石おせちや雑煮で、華やかに新年を祝ってみてはいかがだろう。