兵庫県中南部、播磨平野の東部に位置する稲美町は、田園風景が広がる美しいまちだ。

県内最大のため池｢加古大池｣など88のため池があり、雨の少ない地域での農業を支えるだけでなく、人々の憩いの場にもなっている。

そんな水と緑にあふれたまちに拠点を置くのが、1921(大正10)年創業の豆菓子メーカー｢有馬芳香堂｣だ。

1975(昭和50)年に稲美工場を開設して以来、おいしさと品質にこだわった豆菓子やナッツ、ドライフルーツを同町から全国に送り出している。

そんな同社の人気製品が2023年、稲美町のふるさと納税のお礼の品に加わった。｢油で揚げないハイクオリティナッツ｣は、厳選したアーモンドとクルミ、上質カシューナッツをミックス。クルミを含め、油で揚げずに焙煎しているため、素材本来の味わいが楽しめる。赤穂の焼き塩でほんのりと味付けされているのもうれしい。｢香ばし蜂蜜バターナッツ｣も推したい一品。はちみつで煮込み、北海道バターで風味付けをしたアーモンドとピーナッツは甘じょっぱさが癖になる。

稲美町のお礼の品の中で絶大な人気を誇るのが、黒毛和牛のテイクアウト専門店｢聖｣が提供する品々だ。社長の田中昭彦さんは、1978(昭和53)年から黒毛和牛一筋でおいしさを追求してきた。

ローストビーフの食べ比べセットは、田中さんの経験と技術を生かした逸品。A5ランクの黒毛和牛の｢霜降り｣｢赤身｣｢ハネシタ｣の3種類が味わえる。霜降りと赤身はあっさりした旨みが特徴の部位｢ソトヒラ｣を使用。良質のサシが入った霜降りはコクがあり、赤身は食べ応えがある。希少部位のハネシタはとろける旨みだ。

人気のハンバーグの肉も黒毛和牛(神戸牛入り)100%。ソテーしたタマネギと共に手ごねして焼き上げ、急速冷凍･真空パックした。肉の旨みがぎゅっと詰まった逸品だ。素材にこだわったコロッケも外せない。希少品種のジャガイモと黒毛和牛をブレンドした。黒毛和牛がたっぷり入っているため、食べ応えは十分だ。

黒毛和牛の後は、スイーツにも目を向けたい。カステラ･和菓子の老舗｢文明堂神戸店｣は、稲美町に工場と直営店を構える。

同社〝いち推し〞のカステラは、卵をはじめとした原料にこだわり、生地の状態に合わせて、混ぜ具合や温度などを調節して焼いていく。完成したカステラは、口どけが良く、滋味たっぷり。

カステラを｢三笠山｣の生地でくるりと巻いたのが｢カステラ巻｣だ。製造後は素早く包装し、しっとりとした味わいを保つ。

｢良いものを1人でも多くの方に召し上がっていただきたい｣と製造部次長の川﨑公章さん。贈り物はもちろん、自分用にもお勧めだ。

他にも寝具の｢トゥルースリーパー｣シリーズなど、日々の暮らしを楽しくするお礼の品がそろう稲美町。わくわくするような一品に出合ってほしい。