古くから東海道五十三次の42番目の宿場町として栄えた桑名市は、木曽三川の河口に位置し、北西部は養老山地、南東部は伊勢湾に面した豊かな観光資源に恵まれたまち。2016年にユネスコ無形文化遺産に登録された「桑名石取祭」などの伝統文化をはじめ、ナガシマスパーランド、長島温泉湯あみの島、なばなの里などの観光スポットが満載で、家族連れを中心に人気を集めている。

桑名市には多くの特産品があるが、年末年始に長蛇の列ができる地元の人気店から究極の黒毛和牛を紹介しよう。

まずは、1871年創業の老舗である「柿安本店」。牛鍋店からスタートした同社は、精肉を中心に惣菜、レストラン、食品、和菓子の5つの事業を全国に展開。デパ地下ブームの火付け役となった「柿安ダイニング」は全国的にも有名である。

総務人事部担当者は、「お客様に安心してお召し上がりいただくため、牛の出生から肥育、加工、小売に至る情報を自社工場で一元管理し、製販一貫体制を構築。150年以上続く柿安の匠の技術により、素材本来のおいしさを最大限に引き出しています」と語る

なかでもおすすめは、肉質にとことんこだわった「三重 柿安牛」だ。A5等級の黒毛和牛のなかでも未経産の雌牛を厳選しており、その特有の香り高い脂、なめらかなくちどけは食通も唸るほどの味わいだ。

「ステーキの王道サーロイン、脂身の少ない赤身のモモ肉はしゃぶしゃぶに、やわらかな肉質が特徴のロースは、すき焼きに最適です」とのこと。地元の人たちが特別な日に楽しむおいしさをぜひ堪能してほしい。

次に紹介するのは、家族で牧場と精肉店を経営する「武藤牧場直売店 山嘉」だ。二代目の武藤嘉門さんが牧場で飼育を担当し、姉の景山美恵さんが精肉店を切り盛りする。親から本格的に家業を受け継いでから、自分たちが育てた牛を地元の人に食べてほしいと思い、精肉店をオープン。その後、武藤さんは家畜人工授精師の資格を取り、牛の繁殖も行っている。「山嘉牛は桑名生まれ、桑名育ちにこだわった牛です。地元の稲作農家から藁を仕入れて牛に与え、牛糞は堆肥に使ってもらう循環型農業を実現しています」と言うのは景山さん。

一方、武藤さんは、「牛の肉質は血統とエサで決まります。肉質のいい牛を厳選して受精させ、ふすまや大豆などを独自に配合したエサを与えて丹精込めて育てています」と愛情を込めて語る。その努力が認められ、2017年には全国和牛オリンピックで優秀賞を受賞した。

今回、おすすめするのは、山嘉牛のすき焼き用ミックス。「500gと1kgはあっさりとした赤身のモモを中心にいろんな部位をミックス。710gは極上ロースを中心にしています」

大切に育ててきた牛を余すことなく食べてほしいという想いを感じながら、大切に味わいたい逸品だ。