鎌倉時代の武家文化と明治以降の文人たちが築いたハイクラスな文化が融合したまち、鎌倉市。その風土が生み出した和、洋、和と洋が融合した極上スイーツを紹介したい。

鎌倉の目抜き通り・御成通りに店を構える「鎌倉くらん」はチョコレート専門店。

1963年から原料用チョコレートを製造する「三ツ和商事」が、2013年に自社製品販売のために出店した。「ガーナなど西アフリカや南米から厳選したカカオマスを輸入し、各商品に合った配合でチョコレートを作っています」(営業部・笠原隼さん)。

クルミ、アーモンドなど各素材に合ったチョコレートを絶妙なバランスでまとわせた「しょこらの実」、アールグレイ、抹茶などの多彩なフレーバーが楽しめる「Cacaoパレット」、砂糖を加えない国産栗をミルクチョコレートで包み込み、栗本来の甘さを引き立たせた「ヴィクトワールマロン」など、人気商品を詰め合わせた返礼品で、同店自慢のチョコレートを味わってみてほしい。

和のスイーツとして紹介したいのは、風情ある北鎌倉に佇む「鎌倉松花堂」の「あがり羊羹」だ。

「あがり」は「さし上げる」という意味で、江戸時代には尾張徳川家へ御用品として献上されていた。もちっとした食感で、口の中でとろけ、あっさりとした上品な甘みが広がる。鎌倉松花堂は1961年より北鎌倉であがり羊羹を作り続け、晩年鎌倉に住んでいた川端康成もこの羊羹を好んで食べていたという。

父の跡を継ぎ、今は家族とともに営むこの店で26年間あがり羊羹を作り続ける大口健治さんは、「伝統的なものを作っているので、変わらない味を作り続けることが責任だと思っています」と話す。取材の日も、あがり羊羹を求めて、ひっきりなしにお客が訪れていた。

和も洋も捨てがたいという人におすすめしたいのが、同じく北鎌倉にある「Chocolaterie CALVA北鎌倉 門前」の「栗きんとんショコラ」だ。

厳選した栗と地元産の白餡を合わせた栗きんとんと、ブランデーを使用したミルクチョコレートの濃厚なガナッシュが見事に調和した逸品だ。

2017年にこの店をオープンしたオーナーシェフの田中二朗さんは、ケーキ屋を営む両親の背中を見てパティシエとなり、2007年に鎌倉市大船に兄と洋菓子店を出した。

次第にチョコレートに魅せられ、チョコレートの国際大会に出るうちに、チョコレートの本場のフランス人と同じことをしても、勝てないことに気づく。折しも、「鎌倉に住む人が手土産にできるようなものを作ってほしい」という要望も寄せられていた。「和菓子のスタイルとガナッシュをバランスよく合わせ、鎌倉にしかない、僕にしか作れない、手土産になるお菓子を作りました」と田中さんは語った。

鎌倉市が誇る人気の和、洋、和洋折衷のスイーツをぜひご賞味あれ。