有数の観光地である古都・鎌倉は、鎌倉彫など伝統工芸で有名なモノ作りのまち。鎌倉市の職人たちが手作りするこだわりの返礼品を紹介したい。
鎌倉の目抜き通りである小町通りを歩くと、白い灯台のオブジェとウッドデッキを配した店が目を引く。船の帆に使われる丈夫な綿100％の帆布を用いたバッグを製造・販売する「白帆鎌倉」だ。1943年の創業当初は銀行の硬貨を入れる巾着袋などを主に扱っていたが、今は普段使いできるバッグが人気。洗い加工した厚手の4号帆布で作った「横型トートバッグ」は丈夫で型崩れせず、程よい柔らかさで使いやすい。店の2階にある工房で、帆布を鋏で裁断し、木槌で叩いて折り目をつけ、ミシンをかける工程を1人の職人が通して行う。「シンプルだけど他にはないデザインがコンセプト。牛革の持ち手や金具も手作りし、手間をかけて作っています」（フロアマネージャー・内山宣行さん）。

続いて、アパレル約300点を扱う「KEYMEMORY」。大学の同級生だった鈴木一平さん、三永雄大さんが2018年に立ち上げ、今は5人でデザイン・製造・販売する。当初はフリーマーケットで販売していたが、「ネットショップや実店舗はないのか」という声を受けて出店。「ブランド名は誰かの思い出（MEMORY）の鍵（KEY）でありたいという意味。時間の流れがゆったりとした鎌倉は、このコンセプトにぴったりでした」と鈴木さん。「モッズコート」はポリエステルと綿混合の「T/Cウェザー」を使用しており、耐久性や撥水効果がありながら、着心地も抜群だ。

同様に、「移り変わりの激しい時代に流されずにゆっくりと創作を追求する」というブランドコンセプトの原点に立ち返るため、2017年に鎌倉店をオープンしたのが、アメリカンカジュアルのブランド「SLOW」だ。1階がカフェ、2階が工房とショップ、3階が企画室となっている。各職人が裁断機での型抜き、取っ手の革磨き、ロゴのステンシル、ミシン掛けまでのすべてを担う。「工房を間近で見ることで、親近感を持ってもらえます」とスタッフの岡崎奈津子さん。風合いのある倉敷帆布にステンシルで型染めしたロゴがスタイリッシュな「ハンプブラウンバッグ」は革紐の長さを調整し、肩掛けにも手提げにもできる。

2011年から鎌倉で革製品を作り続けるのは「STRUO」の星野直康さん。6畳1間の工房で型抜き、革漉き、ロゴの刻印、ミシン掛けまで効率よくこなす。最初は大きなバッグなどを製作していたが、余りがちな腹部の革、ベリー（Belly）でペンケースを製作したところ、東京・丸善のポップアップストアでヒット。「ベリーはクラフト作家の腕がダイレクトに伝わる。それを恐れず、無駄なく使って商品開発したことが長続きした秘訣かもしれない」と星野さんは語る。しっとりとした日本製のオイルレザーを用いた「ドログラペンケース」は口が大きく開き、中身が取り出しやすい。楽天市場での販売を含めてシリーズ累計4000個以上を売り上げた。
鎌倉市を愛する職人たちが丹精を込めて作った逸品をぜひ使ってほしい。