十勝平野のほぼ中央に位置する幕別町。小麦や長イモ、ユリ根など肥沃な土壌が育む豊かな食と、北海道らしい雄大な景色が魅力だ。ここはパークゴルフ発祥の地として知られ、町内にある13のコースでは幅広い世代がプレーを楽しんでいる。また、ナウマン象の化石が発掘されたまちでもあり、2024年3月に最新の研究をもとにリニューアルし話題となった「忠類ナウマン象記念館」は、ぜひ訪れてほしい。

幕別町には放牧豚の牧場が３つある。走りまわり健康的に育つ豚は、臭みがなく、あっさりと甘い脂が特徴だ。

忠類地区にある「遊牧舎 秦牧場」では、北海道大学で放牧を研究してきた秦寛さんが定年を機に養豚家に転身し、11haほどの敷地で約100頭を放牧飼育する。「人間が食べられないものを活用するのが家畜本来の能力」との考えから、飼料は小麦や大豆、ホエーなど十勝の農畜産副産物のみだ。よく遊び、よく食べ、よく寝る暮らしぶりから「遊ぶた」と名付けた放牧豚は、長期飼育することで肉質が成熟する。

おすすめはロース、バラ、モモの3種類が味わえる「お手軽しゃぶしゃぶセット」。きめが細かい赤身と口溶けの良い脂の甘さをじっくりと楽しみたい。

忠類地区にはさらに、30haもの広大な敷地で約600頭を放牧する「エルパソ豚牧場」がある。木の実や草の根、カボチャや長イモなどを食べ、自然の中で8ヵ月以上飼育する「どろぶた」は、泥んこ遊びが大好きなことが名前の由来だ。また、ミネラルを豊富に含む土を食べるのも特徴で、豚特有の臭いが大幅に抑えられるという。

グループ会社にレストラン「ランチョ・エルパソ」もある同社は、ソーセージなどの加工品も評判だ。「十勝幕別産ブランド放牧豚 どろぶた 人気商品ギフトセット」は、白カビで熟成させる独特の風味が魅力の白サラミや、赤身と脂のバランスが良いジューシーなハンバーグ、豚丼など種類も豊富。どろぶたの味わいは、実に多彩で奥深い。

ハンガリーで国宝と称される希少な豚の純血種を守り、自然豊かな環境で飼育する「十勝ロイヤルマンガリッツァ豚」もまた、幕別町自慢の放牧豚。

成長ステージにより異なる配合の飼料を与え、傾斜のある敷地内で14ヵ月以上肥育する。最大の特徴は脂身のおいしさだ。一般の豚肉より融点が約10℃も低いため、口に入れるとすっと溶け、甘さと旨みの余韻が残る。発色のいい赤身は濃厚な味わいだ。

繊細な肉質ゆえに火入れが難しいが、しゃぶしゃぶなら70℃で芯まで火が入るので、家庭でも味わいを損なうことなく調理ができる。赤身の旨みと脂の甘さのバランスが良いロース肉を、塩を溶かした湯でさっと泳がせていただく「ロース肉塩しゃぶしゃぶセット」で、無二の味わいを堪能したい。