総力取材記事

日本遺産「鮭の聖地」特有の美味と文化と自然が紡ぐ、物語のあるまち標津を楽しもう

日本遺産「鮭の聖地」特有の美味と文化と自然が紡ぐ、物語のあるまち標津を楽しもう

一万年前から今につながる、日本遺産「鮭の聖地」の物語

現在も鮭と共に暮らす標津。漁場から港へ戻った船から、大漁の鮭が水揚げされる光景は圧巻

北海道の最東端、根室海峡沿岸のほぼ中央にある標津町。遥か太古の時代から鮭と共に歴史を刻んできたまちだ。人も自然も、暮らしも文化も、ありとあらゆるものが鮭とつながる「鮭の聖地」として、今も鮭と深く関わり続けている。太古の時代から悠久の時を刻む歩みは、2020年6月に日本遺産「『鮭の聖地』の物語〜根室海峡1万年の道程〜」として認定されている。

標津サーモン科学館は、サケ科魚類展示数日本一の「水族館」と鮭の生態や文化を紹介する「博物館」の機能を有する体験型施設。町内河川で鮭の自然産卵調査と改善に向けた活動も実施

この聖地を巡る旅を、標津サーモン科学館から始めよう。ここはサケ科魚類展示数が日本一の水族館。シロザケ、カラフトマス、イトウの他、標津の海や川にすむ魚を展示する。

海水大水槽のシロザケ。9~10月は標津川とつながる魚道水槽から、鮭の遡上を観察できる
科学館では鮭網にかかったチョウザメも飼育。屋内水槽では「指パク体験」を実施し証明書を発行
屋外では職員による「巨大チョウザメ腕ガブSHOW」を見学できる

上の写真以外に、鮭の生態や文化をショートフィルムで紹介する映像室、知床連山や国後島など360度の絶景を楽しめる展望室、タッチプールなど充実設備を完備。鮭を多面的に理解できる。

カリカリウス遺跡にある復元住居。新石器時代を代表する竪穴住居で、地面を掘りくぼめて上に屋根をかけた半地下式の構造

次に訪れたいのが、鮭を求め集った人々の痕跡を今に伝えるカリカリウス遺跡だ。ポー川史跡自然公園の森の奥にあり、竪穴住居跡から多量の鮭の骨が発掘された。一部復元された住居内には神秘的な光を放つヒカリゴケを目視でき、時空を遡ったかのような気分に浸れる。

復元住居の中の様子。中央にヒカリゴケが群生

敷地内の民俗資料館で復元土器や屏風などの展示資料からも、悠久の歴史のロマンを感じられる。

ポー川史跡自然公園ビジターセンターにある標津番屋屏風(1864年作の実物大レプリカ)。鮭を巡る暮らしを鮮やかに描写。標津の歴史的価値を示す貴重な資料だ

時知らず、北海しまえび、ホタテの鮮度再現への物語

「鮭の聖地」=標津町の特産品は、いわずもがなの鮭。今回は一般的な秋鮭とは違い、5〜7月に獲れる「時知らず」と呼ばれる特別な鮭を紹介しよう。秋鮭と同じシロザケだが、産卵期ではないため卵や白子がないぶん身に脂が乗り、味わい深く身がやわらか。回遊中たまたま沖合いを訪れた鮭を漁獲するため、数は多くない。その加工を手がける北海永徳では、鮭が生きているうちに血抜きをする「活き〆」を採用。

水揚げ後すぐ活き〆し、急速冷凍することで魚体本来の旨みをキープ。使う分だけ解凍できる便利な個包装

品質と鮮度を保った状態の時知らずを頭からしっぽまで丸ごと使用し、半身を扱いやすい切身の個包装にして届ける。煮てよし、焼いてよし、和洋中よし。凍ったまま刺身で食べる、北海道ローカル料理のルイベにしても絶品だ。

脂乗りが抜群にいい時知らずは、焼くとフワフワ。無塩なので、鍋や煮つけ、ルイベ(=凍った状態の刺身)でも食べられる

先進の急速凍結方法3Dフリーザーを使い、新鮮な風味を封じ込めた返礼品にもご注目。一つめの「北海しまえび」は浅瀬に密生する海藻を食す希少なエビで、深い旨みと甘い味噌が特徴だ。

冷蔵庫で解凍すれば、まるで茹でたてプリップリ。色も鮮やかな北海しまえび

二つめは、北海道道東産「帆立貝柱」。オホーツク海を自由に泳いで育つ天然ものだから、肉質が締まり歯応えたっぷり。

身が締まった帆立貝柱を3D凍結。肉厚で甘く、歯応えはシャキシャキ

これら上質な海の幸を、高湿度冷気で全方位から包み込むように急速冷却。解凍後のドリップが抑制され、茹でたての北海しまえびの食感、剥きたての帆立の味を再現できる。

「標津の海の幸のおいしさを、存分にお楽しみください」と北海永徳の永田雄司社長

いくらや鮭の加工を極める、美味への挑戦の物語

輝き、弾力、濃厚さ。さすが寿司種向けの高品質

次は標津で獲れた鮭から採卵した完熟卵を使った、神内商店の「塩いくら」にスポットをあてよう。こちらは、北海道認証食品(通称:きらりっぷ)第1号を受けた信頼の品。また、TVの料理番組で特選素材として採用された日本トップレベルの銘品でもある。「いくら本来の旨みが味わえる塩だけの味付け。粒が締まり味が凝縮されるから、旨みや甘みが濃いんですよ」と神内真知子さんはにっこり。その笑顔も自信作のいくらも、みずみずしく輝く。

「手作業、無添加。昔ながらのおいしさを、ぜひご賞味ください」と神内さん

かつてアイヌの民が海水で洗って干して作った「鮭トバ」は、標津の歴史あるソウルフード。「実は地元の漁師さんが軒先に干す鮭トバも、製法はほぼ同じ。自分が子どもの頃にもらって食べたら、すごく旨かったんです。その味を再現しました」と話すのは、島田商店の島田裕樹社長。

「この大きさと厚みとツヤこそが標津産」と自慢の鮭を島田社長が披露

標津は19年前から地域HACCP(※標津町の水産業界が連携して取り組む安全食品の供給システム。原材料の生産から消費者に渡るまでの全工程で、衛生管理・安全確認を徹底する)を実践しているため、素材の質はどれも確か。「中でもとびきりいいオス鮭を選んで、自社で加工しています」と言う鮭トバは、地元取扱店でも売れ行き上々。

魚体をフルに使った最長サイズ。キャンプでは、端を手で持ち焚火で炙ってかぶりつく、ワイルド&リッチな食べ方もおすすめ
紅の身、銀の皮とも天然色。オス鮭の旨みを引き出す無添加仕上げ

同店特製ブレンドの「醤油いくら」も、「丼にするならコレ」というファンが多くいる。

歯舞(はぼまい)の昆布醤油を使った自家製の醤油タレに漬けた醤油いくら
郷土料理「武田」のいくら丼。鮭のまちだからこそ味わえる逸品料理が目白押し

まちが誇る鮭の加工品として、知床標津マルワ食品の「鮭ぶし華ふぶき」も外せない。燻煙して休ませるという工程を1カ月間繰り返す、伝統製法「手火山造り」によって作られる。原料はホッチャレと呼ばれる産卵・受精を終えた鮭で、傷つき脂が抜けているが燻製には最適。持続可能な環境の発展をめざすサステナブルな品といえる。

鮭節で出汁をとった蕎麦つゆも好評。湯でたて蕎麦に鮭節をのせて、味わって

おいしいポークを無添加加工、安心安全へのこだわり物語

広大な地でのびのび育つ放牧豚のハム・ソーセージも、まちで人気の返礼品。肥育・加工を手がける知床興農ファームは、安全安心を徹底する。飼料はほぼ100%国産、結着剤・保存料は不使用。豚肉本来のおいしさを、そのままに味わえる。

放牧飼養された豚のロース肉を、特製味噌ダレで漬け込み真空パック。焼くだけ簡単、手軽でおいしい

ご当地スイーツや温泉宿で、物語のあるまち標津を旅して

標津スイーツからは、新旧2品をピックアップ。新スイーツは、滝本菓子舗「牛の卵」シリーズ。4種の味はどれもほどよい甘さで、ふわっと軽く口どけがいい。

左から牛の卵(プレーン)、黒牛の卵(ココア)、草原の牛の卵(ピスタチオ)、大地の牛の卵(イカスミ)のカット

伝統和菓子は、町名を冠に掲げた長谷川菓子舗の「標津羊羹」。しっかりした味わいなのに、後味がすっきり、とても食べやすい羊羹だ。

あっさり食べやすく、地元はもちろん全国的にも人気の羊羹
町内で標津羊羹を取り扱う長谷川菓子舗の外観。洋菓子も好評

「日本で最も美しい村」連合に加盟する同町。その豊かな自然や文化、人や美味を、コロナ収束の折にはぜひ訪ねてほしい。宿は「ホテル川畑」で。源泉かけ流しの標津温泉で心身を癒し、標津の美味に舌鼓。返礼品の宿泊券を利用し、「鮭の聖地」をゆったり旅して。

標津町のお礼の品のクチコミ

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自治体情報

北海道標津町(しべつちょう)

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