総力取材記事

日本海が育む新鮮な海産物と、滋味あふれる幻の黒千石大豆、豊かな湧水に恵まれた絶景のまち

日本海が育む新鮮な海産物と、滋味あふれる幻の黒千石大豆、豊かな湧水に恵まれた絶景のまち

奇岩が美しい海岸線や、神秘の縁桂が風景を紡ぐ

北海道の南西部に位置し、日本海に面した乙部町。かつてはニシン漁で栄え、2022年は約100年ぶりに群来(産卵の群れ)がきたことでも話題になった。そんな歴史を今に残すのが通称「くぐり岩」だ。当時の漁師たちが通路として掘削したもので、現在はフォトスポットとしても人気。そこから少し歩くと、古い言葉で「白い傾斜地」を意味する「シラフラ」があり、独特の景観を生む断崖絶壁が続く。ほかにも「東洋のグランドキャニオン」とも称される「館の岬」、柱状節理が見られる「鮪の岬」など、異国情緒漂う絶景は見る者を魅了する。

太陽の陰影によって様々な顔を見せる、館の岬
白い傾斜地を意味するシラフラは約500mにわたり続く

まち全体の約80%は山林で、縁結びの神が宿るとして地域で親しまれる「連理の木 縁桂」は全国的にも有名。2本の桂の枝が途中でつながる北海道有数の巨樹で、桂がある緑桂森林公園では毎年秋にイベントも開催されている。

連理の木 縁桂は、触れると良縁に恵まれるといわれている

「獲る」から「育てる」へ、海の幸に新たな付加価値を

海とともに歩んできた乙部町の歴史は江戸時代にまで遡るが、昭和に入ってからはスケソウダラや回遊魚の漁船漁業が主体となった。近年では海洋資源が減少傾向であることから、まちでは「育てる漁業」への取り組みも活発だ。

元和台海浜公園のすぐそばに直売所をもつ「町中漁業部」では、返礼品にも選ばれている殻付きホタテが評判。

引き締まった身のプリップリ な食感と甘みが特徴の乙部 町のホタテ

荒波の日本海でじっくり2年間育まれたホタテは、身が引き締まっているのがおいしさの秘密。

手のひらサイズに育ったホタテを一つひとつ丁寧に処理

プリッとした口あたりと強い甘みが特徴で、リピーターも多いという。

ホタテは産卵期の約2ヵ月を除き、ほぼ通年で提供される

おすすめの食べ方をうかがうと、「まずは剥きたての貝柱を、切らずに丸ごと食べてみて。繊維感がより感じられて、ホタテの魅力を存分に感じられます。レシピも同封しているので参考にしてみてください」(町中さん)

町中漁業部は元和代海浜公園すぐそばに直売所があり、家族で切り盛りしている
「夏は何といってもウニの季節。ぜひ食べにきて!」と町中さん

また、乙部町の海産物をブランド化し、付加価値を見出しているのが地元漁師たち60名ほどで構成される「ひやま漁協 乙部ナマコ協議会」だ。親ナマコの採卵から育成、高級食材として知られる乾燥ナマコへの加工と販売、さらには新たな販路開拓まで一手に担っている。「漁業に限らず一次産業は高齢化が進んでいますが、しっかりと稼げるなど魅力を構築し、将来への道筋を私たちが作ることで、移住促進や後継者問題にも活路を見出したい。原料をもつ一次産業はやっぱり強いんです」と、協議会の日沼さん。その工夫はあらゆる海産物に及び、例えば鮮度が落ちやすいミズダコは生きたまま港へ運び、すぐに処理を施してボイル。様々な人に試食してもらい、試行錯誤したという茹で加減は若干レアで、刺身で食べるとそのやわらかさと旨みに驚くだろう。

絶妙な茹で加減で仕上げた自慢の「ゆでだこ」。冷凍でお届けするので半解凍のうちに薄切りにして
「獲る」から「育てる」へ海の幸に新たな付加価値を

また、これまで海の厄介者として知られてきた海藻のアカモクも「海のスーパーフード」として、近年の健康志向の高まりとともに注目を浴びている。

小分けパックになっているので食べやすい

シャキシャキとした食感と強い粘りが特徴で、抗酸化作用があり、ミネラルも豊富。

ほんのり赤みがかった見た目から「アカモク」と呼ばれる

製品はあえて味を付けず、シンプルに刻んだものを提供している。「ポン酢などで味わうのもいいですが、加熱するときれいな緑色になるのでスープの具にもおすすめです」(日沼さん)

シリカを含むおいしい水と、その水で醸すビール

乙部町では至るところから湧水が湧き出している。町内5ヵ所にある「生命の泉」は昔から地元に住む人が活用していた場所を整備したものだ。それぞれに味わいも異なるといい、「コーヒーや炊飯に使うとおいしい」と評判だ。

2ヵ月に1度水質調査をするなど品質管理も徹底している
乙部町の豊かな水は、誰でも自由に汲んで持ち帰ることができる

そんな豊かな水をたたえたまちに工場を構えるのが「命水乙部ボトラーズ」だ。

画家と地元の子 どもたちが一緒 に描いた壁画が目を 引く

「水をきっかけにまちを元気に」との想いのもと、ミネラルウォーター「Gaivota」を販売している。

「Gaivota」はポルトガル語で「カモメ」。郷土民謡「江差追分」の一節に思いを馳せて命名

珪藻土を含む地層からなる自然のフィルターを通し、長い年月をかけてゆっくりろ過された天然の井戸水には、シリカを豊富に含有。シリカには美肌や美髪に欠かせないコラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸の3大要素を結びつける働きがあるといわれている。「まろやかで飲みやすい軟水です。現在では全国にリピーターも増え、ニセコの高級ホテルでもお取り扱いいただいています」(中野さん)

そんなミネラルウォーターを使ったクラフトビールも登場。命水乙部ボトラーズの関連企業「北海道乙部追分ブリューイング」だ。飲み口の軟らかいGaivotaで何か作れないかと考えたのがきっかけで、仕込み水に100%使用。原料の大麦麦芽の一部にも地元産を活用し、今後は「オール乙部」の素材で醸すビールを目指している。

今後はすべて乙部町産の素材を使ったビールを醸すのが目標だそう

定番は3種類。

返礼品は定番3種類をセットでお届け

柑橘を思わせる香り豊かな「ペールエール」、まろやかで軽やかな飲み心地の「ホワイト」、香りと苦みのバランスがいい「アイピーエー」がある。

不定期で限定ビールも醸造しており、レストランでも提供

醸造所にはレストラン「Guild Endeavor」を併設しており、こちらではタイミングにより限定ビールも提供。

併設されたレストランから、醸造所の様子を窓越しに眺められる
地元の木材を多用した建物にも注目

「当初は薪窯で焼き上げるピッツァだけでしたが、今では様々な食事も提供しています。食材には地元の海産物はもちろん、ここでビールを醸造した際に出る麦芽の搾りかすを養豚家に持ち込み、それを飼料に加えた『ビアポーク』も使用。檜山エリアで循環する仕組み作りをしたいと考えています」(山内さん)

サバ缶から黒千石大豆まで、乙部町ゆかりの加工品

乙部町では加工品も豊富。釧路市に本社を構える北海道内最大級の水産加工会社「マルサ笹谷商店」は、創業者の故郷が乙部町である縁から直営店と工場を構えており、新鮮なサバを使ったサバ缶が好評だ。高タンパク・低脂質でEPAを多く含み、長期保存ができるのも魅力。サバ本来の旨みを感じられるよう塩のみで仕上げた「水煮缶」、醤油ベースのタレでごはんやお酒のお供にも最適な「味付缶」、脂の乗ったサバを味噌でやわらかに仕上げた「味噌煮缶」の3種類があり、返礼品は寄付額によって個数のバリエーションを選べるようになっている。

脂の乗った新鮮なサバだからこそのおいしさ。栄養たっぷりで食事にもおつまみにも◎

また、「おとべ創生」は地域資源を活かした商品開発や情報発信を通してまちの魅力を伝える会社だ。

SNSによる情報発信もしており、まちの魅力を楽しく伝えてくれる、おとべ創生の皆さん

とりわけ注目したいのが黒千石大豆。栽培が難しく一度は生産が途絶えていたものの、2001年にわずかに残る豆が発見され復活を遂げた。各生産地では品種改良が進められてきたが、乙部町ではあえて北海道に自生していた原種のままにこだわり生産を続けている。

厳選された黒千石大豆をさらに目視で1粒ずつ選り分けて製品に

印象的な黒色はアントシアニンによるもので、美肌効果や血行促進が期待されるほか、大学の研究ではアレルギー抑制作用や免疫力アップにつながる成分が含まれていることもわかっている。

そんな黒千石大豆を気軽に食べてもらいたいと開発されたのが「豆ごはんの素」。

ほんのり紫色に炊き上がるのは黒千石大豆のアントシアニンによるもの

白米と一緒に炊けば、ふっくらとおいしい豆ごはんが出来上がる。厳選した豆はあえて煎らず、豆本来の味を楽しめるようにしたのがポイントだ。

豆ごはんの素は小分けパックになっているので使いやすい

乙部町内でも生産するのは一軒だけという希少な地大豆「大莢白乙女」を使用したピクルスも話題。大粒で甘みがあり、みずみずしい味わいはこの大豆ならでは。素朴な豆の滋味と心地良い酸味、ハーブの香りが絶妙で、ちょっとしたおつまみや、サラダの具材に加えるなど様々な楽しみ方ができる。

ピクルス液は、汁ごといただけるほどやわらかな酸味で食べやすい

乙部町のお礼の品のクチコミ

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自治体情報

北海道乙部町(おとべちょう)

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