山形県中央部の村山盆地に位置する緑豊かな田園都市、東根市。周囲を山々に囲まれ、春夏秋冬が明確であること、また昼夜の寒暖差が大きいことから、古くより良質な農産物を育んできた。果物においては、4月下旬から始まるハウス栽培のさくらんぼをはじめ、夏の桃やぶどう、秋のりんごやラ・フランスなど、一年を通して多様な種類が栽培され、収穫量はいずれも県内トップクラス。その実績から、1994（平成6）年に、「果樹王国ひがしね」を宣言している。

なかでも、さくらんぼの生産量は日本一で、言わずと知れた高級品種「佐藤錦」発祥の地でもある。大粒の実は果肉が厚く、果汁たっぷり。強い甘みの中にさわやかな酸味が同居し、そのバランスが抜群にいい。「佐藤錦の最盛期は6月中旬〜下旬。短い期間だけ味わえる、夏の知らせのような果物です。届いたときが食べごろ。冷やして食べるとよりおいしいですよ!現在は、農地に散水設備を入れたり、栽培技術向上のための研修を開いたりと、ますますの品質向上を目指し、市内の農家とともに奮闘中です」（JAさくらんぼひがしね・笹原浩一さん）。まだまださくらんぼの進化は止まらない。

多くの企業が参入する東根市は、工業都市として発達してきた一面ももっている。同市に位置する、カシオ計算機国内唯一の生産拠点である「山形カシオ」の「プレミアム電卓」は、優れた視認性や操作性はもちろん、アルミニウム合金の重厚感あるボディや、外周に施された美しい光沢を放つダイヤカットなどが、唯一無二の電卓を演出する。「持つ喜び」が感じられる、細部までこだわり抜かれた逸品だ。

アナログサウンドの魅力を守り続ける「ナガオカ」からは、世界シェア9割以上を誇るレコード針を。チタンの先端に極小のダイヤモンドを溶着した針は、長さ1㎜、直径0.25㎜と想像を絶する小ささ。微妙な角度や寸法で拾う音が変わるため、顕微鏡を覗きながら手作業で調整していく。高度な緻密さが要求される、世界一の技術だ。忙しい日々の合間にレコードにゆっくりと針を落とし、温かみある味わい深い音に身を委ねてみては。

圧力鍋を作り続けて半世紀、鋳造から加工まで一貫生産する「鋳物屋」の「玄米炊飯専用圧力鍋」もおすすめ。お任せ炊飯機能を搭載し、世界最高レベルの高圧力と高い熱伝導率で、初めてでも、簡単に素早く、おいしい玄米が炊けるとあって人気が高い。もちろんさまざまな料理にも使えるので、付属の料理ブックをチェックしてみよう。

最後にご紹介するのは、市内で栽培された完熟梅を、砂糖と自家製の本格醸造りんご酢に約３ヵ月間漬け込んだという「茜姫」。製造するのは「壽屋寿香蔵」だ。「茜姫」に使われている「節田梅」は伝統野菜に認定された山形の在来種で、みずみずしい香りが特徴。食品添加物不使用だから、やさしく自然な味わいが楽しめる。冷やしてもよし、とろけるような食感を堪能あれ。