四日市市では、大規模な石油化学コンビナートが形成され、市内陸部は半導体製造をはじめ全国屈指の産業集積地となっている。臨海エリアの巨大な工場群は圧倒的な機能美を持ち、工場夜景の鑑賞に訪れる人々を魅了する。かつての公害を教訓に環境問題に積極的に取り組み、まちなかは緑がいっぱい。鈴鹿山系や里山にも豊かな自然があふれている。そんな四日市市から地元で伝統技術を活かし続ける返礼品を紹介したい。
一つめは江戸時代からの伝統工芸の萬古焼に、現代の精緻な切削技術を施した「ベストポット」だ。ベストポットは耐熱性に優れた萬古焼の陶器の鍋と、鉄鋳物の蓋の接合部分をともに削り、ピッタリと隙間をなくし密閉できる蓄熱調理鍋だ。その切削技術の精密さは、誤差1000分の1ミリを保証するもの。「航空宇宙産業の部品加工に使われるほどなんです」と、商品を開発した「中村製作所」の代表取締役社長の山添卓也さんは胸を張る。ベストポットは強火で10分加熱すると、火を止めた後も鍋の中で食材に熱が加えられ、蓄熱でおいしく調理できる。無水調理も可能だ。　
もう一つは、「九鬼産業」の胡麻油だ。明治19年の創業から変わらず圧搾法という伝統製法で、胡麻を押しつぶして油を搾り出す。搾った油は何度もろ紙や布などでろ過する。手間はかかるが安全性を優先し、薬品類は一切使わない。返礼品の「胡麻セット（Ｄ）」は、いろんな胡麻油の香りや風味を楽しめる。生胡麻を煎らずに低温圧搾した「九鬼太白純正胡麻油」、ほどよく煎り上げた胡麻の香りと味わいが特徴の「山七純正胡麻油」など自宅用にもギフトにも嬉しい胡麻油の詰め合わせだ。
伝統技術への敬意が込められた四日市市の返礼品の数々。ふるさと納税を通して応援していきたい。