柏崎で味わう海の幸、素材×こだわりの技に注目
新潟県の長い海岸線のほぼ真ん中に位置する柏崎市。目の前には日本海、背には緑の山々という地の利を活かし、数々のおいしいものを生み出している。
まず海の幸から味わっていこう。柏崎市内の6港に揚がる地の魚をメインに、日本海の魚介を揃える、その名もずばり「日本海鮮魚センター」。
店舗には旬の魚介がずらりと並ぶが、通販店店長を務める小山隆幸さんによると、鮮魚に負けない、いや勝る味わいの逸品があるという。
「粕床は越後の酒蔵から仕入れる酒粕で作ります。それを不燃布シートに挟んで魚介を包む独自の方法を開発。粕の風味だけが素材に入り、まろやかな味に仕上がるのです」。その上、粕をふき取る手間がかからず、焦げ付きにくいという利点も。
鮭・たらこ・ホタテ・あわびが入った「粕漬ざんまい」では、素材ごとに漬け込む時間を変え、丁寧に作り上げる。
冷蔵庫で一晩解凍する間にも味が入ることを計算して塩梅するのだという。「たらこやホタテ、あわびは、さっと炙っても、そのまま刺身でもおいしいですよ」。手間と時間が素材のうまさを凝縮した、店長自慢の品である。
土・水・肥料にこだわり、米のうまみと甘さをアップ
柏崎は、日本海となだらかな稜線を持つ山々に囲まれた柏崎平野に栄え、古くから稲作が盛ん。その中でもおいしいと評判の米を育てている「矢田営農組合」の代表理事、石黒芳和さんによると、その秘密は「土と水と肥料」。
土づくりにこだわり、森から水を引いて水田に行き渡らせている。
「いい水なんですよ。だから、明治19年に掘られた農業用の隧道をリニューアルして、今もその水を使っているんですよ」。そして、魚が原料でアミノ酸たっぷりの安全な肥料を使い、米の甘みと旨みをアップ。「勉強しつつ、試行錯誤しつつ、経験を積み重ねて作った米です。これからもまだまだ進化させますよ」(石黒さん)。
炊きあがりのつやと香りがたまらない、ふっくらもちもちの「コシヒカリ」。大粒で甘みとコクがあり、冷めてもおいしい「新之助」。
新潟が誇る二大品種を、扱いやすい2㎏の袋に詰めてお届け。好みに合わせて一種類を選んでもよし、両方を食べ比べて味の違いを楽しんでもよし、石黒さんたち組合のメンバー渾身の柏崎の米の旨みを味わおう。
食のバイヤーをうならせた、こだわりの焼豚をご自宅で
次のおいしいものは、明治23年の創業以来、柏崎市民の食卓を支えてきた「神林精肉店」の肉のごちそう。
中でも、焼豚は、食の展示会でバイヤーの注目を集め、2019年からは首都圏の高級スーパーに並んでいるという、知る人ぞ知る逸品。
五代目社長の神林一吉さんによると、「厳選した国産ポークを1時間煮込んで10分蒸らし、一晩寝かせて出荷しています。化学調味料・保存料無添加で、手作りにこだわってきました」。
この焼豚と豚バラ角煮、鶏モモ肉塩麴漬の「満足3点セット」は、おもてなしはもちろん、分包なので普段使いにも◎。人気のカレーともども常備しておきたい。
「焼き豚の厚さは3㎜。私が一番おいしいと思う厚さです。家庭でこの厚さにスライスするのは難しいので重宝されています」と、神林社長はにっこり。自信を見せた。
米山の伏流水と地元の米、厳選素材で醸す、柏崎の酒
ここ柏崎にも文化11(1814)年創業の「原酒造」があり、江戸時代から明治・昭和・平成・令和の現在まで、「越の誉」の名を冠した多くの銘酒を生み出してきた。原料は、柏崎及び隣接する上越エリアの酒米と、標高993mの米山の伏流水。「生産者の顔が見える米で作っています。こちらから田に出向いて、生産者と交流し、稲の状態を見ることも少なくありません」と、米について熱く語るのは、杜氏であり、製造部長でもある石黒芳和さん。
米に詳しいのは、実家が農家で、今も出勤前や休日に農作業を行っているから。さらに、ここに来る前に訪ねた矢田営農組合の理事長も務める。
10月から返礼品に加わった期間限定販売の「秋だよりセット その参」には、矢田営農組合が育てた「葉月みのり」で醸す「純米 葉月みのり新米新酒」が含まれる。「葉月みのり」と、2019年に柏崎で誕生した、新潟県で最も早く収穫できる極早生米。「米そのままのおいしさを味わえるよう、玄米の外側の糠を除く程度で、精米歩合は90%です。それを無濾過生原酒にしたので、フレッシュでフルーティ。酸がしっかりした味わいはワインに通じるところもあり、洋食にも合うと思いますよ。若い人にも飲んでほしいですね」。新潟県外への流通は今年からという、初々しい酒だ。
2本目は、時間をかけて醸した「銀の翼 純米吟醸 雪囲い酒」
室温2℃、湿度93%の雪室は、酒の貯蔵に最も適した環境。「そこで、半年間熟成させると、新酒の荒さが丸くなり、味わいがより深いものになるんです」。雪国の宝物と呼ばれる人気の一本だ。
そして最後の1本は、秋の定番「純米吟醸 秋酒(ひやおろし)」だ。「米本来の味が熟成感になり、味わい深く奥行きのある酒になっています。瓶詰時に加熱殺菌していないので、冷暗所で保管して、早めに飲んでいただけたら」と石黒さん。でも、その心配は無用。秋の夜長に、月を見上げながらいただけば、すいすいと杯を重ねること間違いなし。
新しい酒造りにチャレンジし、幅広いラインナップを誇る原酒造には、時代を超えて愛される、原点ともいえる酒がある。蔵の中で8年間寝かせた「純米大吟醸 秘蔵古酒 もろはく」は、まろやかさを極めた、黄金色の酒。
大切な記念日や自分へのご褒美にいかがだろう。時の流れがもたらす余韻は、特別なシチュエーションにぴったりだ。
大粒で甘くて果汁たっぷり、デザートはブランドいちご
鯨波海岸を見下ろす丘の上にある4棟のビニールハウスは、12月から6月まで甘い香りで満たされる。ここは、新潟のブランドいちご「越後姫」を育てる「ファームくじらなみ」
「越後姫」とは、ベルルージュ×女峰×とよのかを交配させて作り上げた、大粒で果汁たっぷりのいちごの品種だ。
「10年前に農業経験ゼロから栽培に取り組み、勉強と研究を重ね、作り方を改善し、おいしい『越後姫』の生産に成功。事業として採算が取れるようになったのはここ5年くらいですよ」と、代表の吉原明さんはさらりと言うが、言葉の端々にいちご栽培への並々ならぬ情熱が伺える。
果肉が柔らかくデリケートな上、当ファームでは完熟を待って収穫するので、熟練の女性スタッフがお姫さまを扱うように、丁寧に優しく作業する。なかなか県外へ出回らないのも、このデリケートさゆえ。
返礼品の「越後姫」は先行予約。申込期日は2022年5月8日までで、2021年12月より順次発送スタート。
収穫状況によっては少々時間がかかることもあるが、内気なお姫さまのお出ましをお待ちいただきたい。
美しさと機能性を備えた、耐熱ガラスのテーブルウェア
海の幸・山の幸を巡った柏崎の一日の最後は、耐熱ガラス工房「クラフト・ユー」。一般的なガラス製造と異なり、耐熱ガラス製造では、素材の仕入れ、2000度の炎を発するガスバーナーなどの設備を揃えるのが難しく、個人の耐熱ガラス工房は全国でも珍しい。
ここでは、この道30年のガラス職人、徳間保則さんがハンドメイドでテーブルウェアを作り続けている。
丸いフォルムは、かわいいだけでなく、茶葉のジャンピングに適しており、目も舌も心も満たしてくれる。また、液だれをしない魔法のような「醤油さし」も根強い人気を誇る。
「ガラスは繊細なので大切に扱う。だからこそ、豊かな気持ちになれると思うんです」と、徳間さん。扱いに気を付ければ、陶器より軽くて持ちやすく、耐熱ガラスのカップは電子レンジにもオーブンにも蒸し器にもOKと機能性抜群。
美しさと機能を併せ持つ耐熱ガラスを生活に取り入れてみては。