上質な脂の甘さが特徴、南足柄産のブランド牛
「足柄山の金太郎」でおなじみの南足柄市は、神奈川県西部に位置するまちだ。人口は約4万人。電車や車のアクセスも良く、都心に出るのも便利だ。また、2021年に「はこね金太郎ライン」が開通したことにより、箱根へのアクセスも格段に良くなった。そんな南足柄市の魅力あふれる返礼品の中から、えりすぐりを紹介しよう。
まず紹介するのは、「相州牛」の「すき焼き用肉」だ。相州牛は1968年創業の「長崎牧場」で育てられたブランド牛。同牧場では子牛の育成から出荷までを一貫して行なっている。
長崎牧場のみで生産しているので、肉質に均一性がある牛が育つ
「複数の牧場で飼育していると、どうしても肉質や味にバラつきが出てしまいます。でも、相州牛の牧場はうちだけなので、『おいしい肉を作ろう』というこだわりをすべて注いだ飼育ができるし、肉のクオリティを保つことができます」と、代表の長崎光次さんは話す。相州牛の年間生産頭数は約250頭で、販売するのは神奈川県内にある二社のみ。流通経路が限られていることから、「幻の牛肉」と称されている。
長崎光次さん(中央)が育てる相州牛を、家族が経営する「長崎畜産」で精肉にして販売している
年間生産頭数は250頭に限られているので一頭一頭に気を配っている
サラッとした脂身の食感と甘みが特徴の相州牛は肉質が良く、年配の方でも食べやすいと評判だ。肉質の決め手は、長崎さんが考案した独自配合の飼料にある。「肉の味は、飼料によって変わります。長崎牧場では、炊いたお米やパン、酒粕、オリーブ粕を原料にして、オリジナル配合の飼料を作っています。その飼料を与えることで、脂の融点が低くなります。相州牛の脂がサラッとして甘いのは、そのためです。オレイン酸の数値が高いので、旨み成分も多く含まれています」と、長崎さん。
旨みたっぷりの相州牛のすき焼きを、存分に堪能していただきたい。
独自のオリジナル配合飼料を作る長崎さん
脂の甘みとさっぱりした食感の相州牛は、すき焼きで食べる前に塩コショウだけの味付けで肉本来の味を楽しんでほしい
濃厚な旨みと芳醇な香り、県初の国産高級バナナ
神奈川県初のバナナ農園「金太郎ファーム」では、上品な甘さの「金太郎バナナ」を特別な製法で栽培している。
到着後は、冷暗所で常温保存。皮にシュガースポットが出たら食べ頃のサイン
ハウス内は20℃以上に設定。ハウス2棟で140本のバナナの木を育てている
「当園のバナナは栽培期間中、農薬と化学肥料は不使用ですから、安心安全なのが特徴です。農薬不使用なので、皮のまま丸ごと食べられますよ」と言うのは、代表の磯﨑昇治さんだ。以前は公務員をしていたそうだが、バナナ栽培を始めたのは2022年のこと。バナナの原産地は海外が多い印象だが、国産バナナを作ることへの迷いはなかったのだろうか。
「たくさん流通している輸入バナナとは違い、国産バナナは収穫数が圧倒的に少ないので希少価値が高いです。当園のバナナは凍結解凍覚醒法という技術を用いた苗で栽培しているのですが、成長スピードが速いので、栽培一年目からバナナを収穫することができました。また、この方法で栽培すると、抗酸化力が高くて黒くなりにくいという特性があります」と、磯﨑さんは話してくれた。
神奈川県初の高級バナナ、金太郎バナナを栽培する磯﨑さんご夫婦
農業の天敵といえば虫と病気だが、金太郎ファームの対処法を聞くと、「所有している山で伐採した竹で作った炭ともみ殻を、ハウスの地面にまいています。炭は土の中の微生物の住処になり、バナナの病気を防ぐことができます。もみ殻は土壌の乾燥剤としての役割があり、通気性を良くしてくれて、虫を寄せつけません。みなさんに安全でおいしいバナナを食べてほしいので、こだわって作っています」とのこと。
炭やもみ殻で防虫対策することで、農薬不使用のバナナ栽培を実現
芳醇な香りと上品な甘みの高級バナナを、味わっていただきたい。
まるでバナナそのものを食べているような濃厚な味わいのアイス
ブルーベリーの食感が楽しい、ジャムとアイス
1950年代にみかん農家として創業した「まつが農園」は、1988年からブルーベリーの栽培を始めた。「このあたりの土地は酸性土壌なので、ブルーベリー栽培に適しているんです」と、代表の鈴木陽一さんは言う。
南足柄の気候に合った5種を栽培。7月中旬~8月末頃までブルーベリー狩り(要予約)ができる
まつが農園提供のお礼の品は、南足柄の太陽をいっぱいに浴びたブルーベリーを使用した「ジャムギフト」と「アイスクリームギフト」の二品だ。
果物の食感が楽しめるジャムをお届け。パンやヨーグルト、クラッカーに乗せてどうぞ
まつが農園で栽培したブルーベリーを中心に、地元産の果物を使用
「ブルーベリーの加工品は栽培開始当初から想定していて、ジャムは比較的早い時期から取り組んできました。アイスクリームについては、以前経営していたペンションで出していたアイスがお客様の反応で良かったので、ブルーベリーや地元産の果実を使ったアイスを作ることにしたのです。うちのアイスは安定剤の代わりに天然由来素材のこんにゃく粉を使っているので、添加物は不使用です」と、鈴木さん。
まつが農園では、ジャムとアイスに使用するブルーベリーには格別のこだわりがあるという。「加工品に使用するからといって、難ありのものは使いません。果肉がしっかりしていて状態が良いもののみを使っています」。そのブルーベリーの味と食感を、ジャムとアイスで楽しんでほしい。
ハムスターやうさぎが大喜び、ブルーベリーかじり木
まつが農園で剪定したブルーベリーの木を、有効活用したお礼の品がある。まつが農園の鈴木さんの娘、宮垣柚里奈さんが代表を務める「ギフペット」の「かじり木」だ。
かじり木は、ハムスターやうさぎなど、生涯歯が伸び続ける小動物の噛み合わせの悪化予防や、ストレスケア用品として使用されている。
「まつが農園自慢の果樹の中から、何種類か試作してわが家のペットのデグーに与えたところ、ブルーベリーの木の食いつきがいちばん良かったのです。そこから、長さや太さ、乾燥時間など条件を変えて、商品開発を行ってきました」と言う宮垣さん。
かじり木は、まつが農園の食品製造に適した施設で製造しているのでペットにも安心安全だ
宮垣さんのペット、ちくわちゃん(デグー)も、ブルーベリーかじり木がお気に入り
商品化については、「小動物ペットと飼い主さんが、一緒に楽しめるギフトを作りたかったのです。まつが農園で栽培する安心品質のブルーベリーの果実はジャムとして飼い主さんに、枝はかじり木として小動物に楽しんでもらおうと思いました」とのこと。飼い主さんと小動物ペットが一緒に〝食〞を味わえる、南足柄市のみのお礼の品を、ぜひどうぞ。
まつが農園のブルーベリージャムも楽しめるセットは、小動物の飼い主さんへのプレゼントにもおすすめ
まつが農園代表の鈴木陽一さん(左)と、「ギフペット」代表の宮垣柚里奈さん
心を整えて集中力を高める坐禅体験
南足柄市では、体験型のお礼の品も人気だ。
670年以上前に開創した「上関山 極楽寺」の「坐禅体験」を紹介しよう。
「坐禅は心を落ち着かせて、自分自身と向き合うための修行です。呼吸に集中することで、心を整えることができます」と、田中法典住職は話してくれた。
670年を超える歴史ある禅寺、上関山極楽寺。2024年4月にお釈迦様の誕生を祝うミニコンサートが開催された
極楽寺の坐禅体験にはさまざまな人が訪れるそうだが、中にはスポーツやビジネスなど勝負の世界で闘う人も多いという。
「2024年はオリンピック開催年ということもあり、出場するアスリートの方がいらっしゃいました。他にも、ビジネスマンや主婦の方など、さまざまな人が来られます。坐禅のメリットは、集中力やメンタルコントロールの向上です。また、パフォーマンスを高めるのにも役立ちます」と、田中住職。
心が落ち着く坐禅体験で、自分自身と向き合う時間を作ってみてはいかがだろうか。
「日常生活の喧騒から離れて、心を整えに来てください」と話す、田中法典住職
座布団はもちろん、イスを用いた坐禅も可。所要時間は約2時間
物事の本質を見つめ直す宿坊体験
宿坊体験最後に紹介するお礼の品は、1394年開創「祥龍山 金剛寺」の「宿坊体験」だ。宿坊体験では、坐禅、朝のお勤めにも参加。朝ごはんは、お寺の宗派の作法でいただく。
1394年開創の禅寺、祥龍山金剛寺。七夕などの年中行事の他に、さまざまなプログラムが行われている
「金剛寺の宗派、臨済宗の作法で食事をいただきます。食事中は私語禁止なので、ハンドサインで想いを伝えるのですが、参加者にも覚えてもらっています」と、佐々木壱穂住職。
金剛寺の宿坊体験には、自分を高めたい人や悩みを抱えている人、自分探しなどを目的に、年齢性別に関係なく、さまざまな人が訪れている。
「宿坊体験は寺院で行われる非日常の体験プログラムで、参加者にとっては瞑想や食事作法などの修行を通して、物事の本質を見つめ直す機会になります。お寺や坐禅と聞くと構えてしまう人もいるかもしれませんが、気軽な気持ちで参加してください」と、佐々木住職。
本堂で一泊して禅寺の生活を感じることのできる金剛寺の宿坊体験で、今の自分を見つめ直してみてはどうだろう。
坐禅、写経、朝のお勤め、食事作法などの修行体験ができる
「宿坊体験を通して感謝の気持ちや生きる意味を実感してほしい」と話す佐々木壱穂住職