スイカやメロン、イチゴなど極上フルーツの一大産地として知られる和歌山県御坊市。これからの季節に旬を迎える果物としてはイチゴがあるが、その中でも近年人気急上昇中の品種が「まりひめ」だ。

これは和歌山県外では、なかなか入手できないイチゴ。大粒の果実はツヤツヤとした光沢があり、口に含むと品のある香りと甘みがふわりと広がる。和歌山のオリジナル品種であるこのまりひめを生産している二軒の生産者の方にお話をうかがった。

一軒目はエコファーマー認定農園として環境にやさしい農業を追求する「NOPPY農園」。園主の小阪英誉さんは「化学肥料や農薬を多用すると味にエグ味が出たり、香りに影響が及んだりするので、可能な限り減らすようにしています。肥料には天然にがりを使っていますが、そこに含まれるミネラルがイチゴの糖度を高めてくれるんです」と語る。土に関しても「フルボ酸」を使うことでイチゴ本来の良さを引き出している。フルボ酸とはもともと森林や土壌に存在する有機酸のことだ。

手塩にかけて作られるNOPPY農園のまりひめは東京の高級フルーツ店や百貨店でも扱われるほど。特にまりひめの中からさらに厳選された「毬姫様さま」の生産農家は、和歌山県内で33軒のみ。プレミア的な存在になっている。今回の返礼品では、この毬姫様も用意されているので、そのコクのある感動的な甘さをぜひ味わってほしい。

もう一軒うかがったのは観光農園と返礼品は写真のようにパックに入れてお届け。口に入れると濃厚な甘い果汁が広がる。香りも絶品！してイチゴ狩りも行っている「農園紀の国」。園主の田中正俊さんいわく「イチゴ自体を強くし、免疫力を高めるために肥料等の葉面散布を定期的に行っています」。それによって農薬を極力使わずに済んでいるとのことだ。また、甘みを集中させるために、なった実の半分を摘果し、質の高さを追求しているともいう。

「見た目は縦長の紡錘形。色ツヤも良く、とてもキレイなイチゴです。たっぷり甘みを蓄えた完熟の状態で収穫し、すぐにパック詰めをして出荷しています」と田中さん。誌面からもその美しさは伝わるはずだが、実物を見ると、さらにインパクトを受けるだろう。

近年ではまりひめの人気を受けて生産に力を入れている農家も増えている。今後ますますその人気は高まっていくに違いない。御坊市が誇る極上イチゴを、この機会に体感したいものだ。

御坊市の食の魅力をぞんぶんに味わいたいという方に提案したいのが「定期便」の活用だ。

その中からまずは「紀州田舎の小さな八百屋さん」の年4回の「定期便フルーツセット」を紹介しよう。春はネーブルやハッサク、夏はスイカやメロン、秋はブドウやカキ、冬はイチゴやミカンを中心として毎回3品目以上の果物が送られてくる。「定番から珍しいものまでバラエティあふれる内容になっているので楽しみにしてお待ちください」とは店主の稲田吉紀さん。

同店ではまた「野菜セット定期便」も用意。こちらは年6回のコースで、旬の野菜を1ヵ月おきに届けてくれる。一つの箱に15品目以上が入っているというからボリューム的にも満足度が高い。「御坊市にはものづくりに熱心な農家の人が多くて、その人たちを応援したいという気持ちがあるんです」と生産者と一体になって取り組む稲田さん。まさに、返礼品を通して地域の活性化に貢献できるというわけである。

青果物の定期便としてもう一軒ご紹介しておきたいのが「ニコニコヤ」。同店の「紀州の野菜・果物セット」は毎回15品目から20品目、太陽をたっぷりと浴びた旬の青果物が送られてくる。

ニコニコヤの創業は1945年。現在の店主である山本康仁さんは競り人の資格を持っていて、毎朝青果市場で新鮮な青果物を仕入れてくるという。「定期便の内容は時期によって変わりますが、その日一番のものをお送りすることにしています」と笑顔で語ってくれた。御坊周辺でしか流通していないものもあるとのことで、新しい食材との出会いにも期待できそうだ。

太平洋に面している御坊市は海の幸の返礼品も充実。その中から定期便をピックアップしてご紹介すると、まずは地元で100年以上前から海産物問屋を営んできた「カネヨネ黒川水産」。五代目の黒川十士嗣さんは「鮮度ではどこにも負けない自信があります」と胸を張る。

黒川さんは「神経締め」という技術を駆使して、水揚げされたばかりの鮮魚を手作業で処理。この神経締めによって魚の鮮度が長く保たれ、身はプリプリ。まるで港から直送されたかのような新鮮な天然魚を届けることができるそうだ。

同店が提供する「御坊産鮮魚セット2・5㎏」は年4回の定期便。タイやアジ、サバ、タチウオなどぴちぴちの海の幸が1、3、10、12月に届けられる。魚が好きな人には魅力いっぱいのセットになることだろう。

御坊市で鮮魚店を営む「はし長」が提供するのは「はし長厳選！贅沢セット定期便」だ。こちらは10月は自家製とこぶし煮付け、11月は活〆伊勢海老、12月は天然クエと3回にわたってこだわりの食材を送ってくれる。

「とこぶしはアワビに似た貝です。これを独自の製法でやわらかく煮て、自家製のタレで味つけをしました」と語るのは同店の橋本昌典さん。口の中で弾む食感と甘辛い味が魅力の逸品だ。

伊勢海老に関しては「紀伊半島の伊勢海老は浅瀬に生息するのでがっしりしているのが特徴。足の部分にも身が詰まっています」。味が濃厚なため、鍋にするといい出汁がでると太鼓判を押してくれた。天然クエについても「鍋がオススメです」ときっぱり。白身で淡泊なクエは刺身にしてもおいしいが、冬は鍋として楽しんでもらいたいということだった。

御坊市が誇るさまざまな海の幸を贅沢感あふれる定期便で心ゆくまで楽しんでいただきたい。