岐阜県関市は、日本一の出荷額を誇る｢刃物のまち｣。その歴史は700年以上前、鎌倉時代にまでさかのぼる。刀の原料である焼刃土、炉に使う松炭、長良川や津保川の良質な水に恵まれた地には、300人を超える刀匠が集まったという。関の刀は｢折れず、曲がらず、よく切れる｣と評判を呼び、多くの武将たちに愛用された。毎年秋に開催される刃物まつりでは多くの観光客がにぎわう中、刀匠による古式日本刀鍛錬が披露されている。

刀鍛冶の伝統技術は、家庭用包丁やキッチン用品へと受け継がれ、日本屈指のメーカーの集積地として発展。国内はもとより、ドイツのゾーリンゲン、イギリスのシェフィールドに並び、世界の三大刃物の産地として名をはせる。そんな関市の卓越した技術やこだわりを知るため、現地取材を決行。ものづくりの現場を見せてもらい、その思いを伺った。

関市の返礼品の一番人気は包丁。刃物関連は1500品以上にのぼり、その中で包丁は約700品を占める。中でも圧倒的なアイテム数を誇る｢貝印｣を訪問し、長年製造に携わる三品順司さんの案内で工場を見学した。伝統の職人技と最先端の生産設備を融合させた社内一貫体制で、高品質でリーズナブルな価格を実現しているそうだ。

｢お客さまの多様化するニーズに応えながら〝切れ味〞を追求。そのため、包丁の鋼材のカットや熱処理は機械化する一方、最終工程の刃付けは職人がひとつひとつ丁寧に仕上げています｣

同社の代表ブランドといえば｢関孫六｣シリーズだ。この名の由来となった人物は、独特の技法を生み出し、｢関の刃物｣の礎を築いたと伝えられている。中でも｢ダマスカス三徳包丁｣は、関孫六シリーズの上位モデル。刃部に高硬度の最高級ステンレス刃物を採用しているので切れ味は抜群だ。

｢複数のステンレス素材を32層に折り重ねたダマスカス模様は、唯一無二の柄。世界にひとつのオーダーメード品を手にしたような特別感が味わえます｣

お手入れが簡単で衛生的に使いたい方には、オールステンレスの包丁とキッチン鋏がおすすめ。刃体からハンドルまで一体構造の｢匠創｣は、バランスのよさと高い耐久性が特徴。薄い刃先の鋭い切れ味は、食材を選ばない万能包丁として利用できる。

一方、｢鍛造オールステンレスキッチン鋏｣は、簡単に分解して洗えることが魅力だ。

｢剛性の高い鍛造製は丈夫で使いやすく、切るものを選びません。野菜や肉、魚、硬いものも簡単にカットできます｣と三品さんは語る。

これらの製品の切れ味を長持ちさせるために、特別な技がなくても簡単に扱える｢関孫六ダイヤモンド&セラミックシャープナー｣を一緒にそろえたいところだ。

｢関孫六シリーズの『ツメキリ』もあるんです｣と最後に紹介してくれたのは、貝印のツメキリの中でも売上げトップクラスの人気製品。熟練の職人が1本1本、刃先を調整することで抜群の切れ味と使いやすさを実現。名匠の名にふさわしい逸品を取り入れ、日常生活をワンランクアップしてほしい。

｢サンクラフト｣は1948年の創業以来、包丁やキッチン用品などを企画･製造･販売している。〝他社とは違うことをしよう〞をテーマにオリジナリティを追求する企画開発力と関市の伝統技術を融合させて、切れ味がよく使い勝手のいいキッチン用品を数多く発売。さらにリニューアルを重ね、機能性やデザインの向上に努力を惜しまない。

｢包丁職人がつくったキャベツスライサー｣もそのひとつ。

長年愛され続ける製品だが、お客さまの声を取り入れて改良を重ねた。デザインを担当した霜山和陽さんは、｢千切りキャベツは薄く切るほどに食べやすくなり、おいしさに直結します。スライス厚は従来の約半分を目指し、刃は業務用包丁にも使われるモリブデンバナジウム鋼を採用しました｣と語る。

さらに一人暮らしの方が使いやすく、収納もしやすいように4分の1カットのキャベツに合わせたコンパクトサイズに変更。最後まで食材を無駄にせずにスライスできるフレキシブルホルダーを新たに開発した。

切れ味･サイズ感･安全性に優れたスライサーは、玉ねぎやショウガなどさまざまな食材に活用できる。

次に紹介する｢快菜しゃきふわ大根おろし器｣は、テレビ番組にも取りあげられる人気シリーズ。縦方向と横方向の交互に刃が付いている3Dおろし金により、驚くほどふわふわでしゃきっとした大根おろしが出来上がる。

｢おろし金は緩やかなアーチ状。おろす手前のカーブをきつくしているので、食材の断面が当たる面積は小さく、軽い力でザクザクと面白いくらいに早くすりおろせます｣と笑顔で語るのは、国内営業部の中村圭吾さん。

容器の裏面はゴムストッパー付き。おろし金を斜めにセットできるので作業しやすく、余分な水分もしっかり切れるなど、使う人の立場を考えて細部まで気配りされている点がうれしい。

｢台所育児シリーズ｣は日本の食育実践の先駆者である料理研究家の坂本廣子氏監修による子どものための料理道具。子ども向けの切れない包丁もあるが、余計な力をかけて大きなケガの原因になることが少なくない。一方、このシリーズの最大の特徴は、大人用と同じ切れ味のいい本格派包丁であること。包丁の刃やハンドルは正しい位置で持ち、子どもの力でもよく切れるようにさまざまな工夫が施されている。

｢自分にもできたという経験は、子どもの自己肯定感を高め、自信にもつながります｣と語るのは、パッケージデザインを担当した坂東美希さん。

色とりどりの食材をモチーフにした専用ボックスに収納された5点セットは、誕生日プレゼントや入学祝いなどに喜ばれそう。

最後に根強い人気があり、プロにも愛用される自慢の返礼品をふたつ紹介しよう。まずは、1873(明治6)年創業の老舗メーカー｢三星刃物｣が手がける｢和 NAGOMI｣シリーズ。サビに強くて粘りのあるモリブデン鋼440Aを焼き入れできたえることで、刃こぼれがしにくく、切れ味が鋭い刃物を実現した。当初、主婦向けに開発したブランドだったが評判を呼び、プロにも愛用されているそうだ。今回紹介するパン切り包丁は、ナミ刃にすることでパンの形を崩すことなく、きれいにカットできる優れものだ。

もうひとつは、｢ブリヂストンスポーツ｣関工場で主に生産されているゴルフボールだ。中でも人気の高い｢TOUR B JGR｣シリーズは、幅広いゴルファーが愛用する基本機能に優れた製品。2023年夏には、最新テクノロジーにより〝飛距離の最大化〞を追求したモデルとして新発売された。従来からの｢心地よいソフトな打感｣を踏襲し、すべての番手で爽快かつ大きな飛びをサポートする製品は、ゴルフ好きな家族や友人へのプレゼントにぜひ利用してほしい。