兵庫県上郡町は自然豊かな山あいのまちで、鎌倉時代末~南北朝時代に活躍した武将・赤松円心が築城した白旗城跡や、菩提寺として建立した法雲寺など歴史を感じられる名所も多い。昼夜の寒暖差が大きく、土壌が肥沃で水がきれいなことから稲作が盛んである。毎年、町内で生産されたおいしいお米を決める食味コンクール「米リンピック」が開催されている。
このコンクールで受賞経験がある「エスエスファーム」の「特別栽培米にこまる」は、農薬を一切使用しない自然農法で栽培したお米だ。「にこまる」は九州で開発された品種で、普通、お米は猛暑・酷暑に弱く白濁してしまうが、この品種は高温障害による白濁が少なく、酷暑でもおいしいお米ができる。
生産者のエスエスファーム笹山さんに無農薬栽培への思いをうかがった。
「お米の栽培は何より雑草との戦いです。田植え後は稲の条間を除草機でかき混ぜ、雑草が大きくならないようにしたり、深水栽培や有機肥料を使用したりして雑草を抑制していますが、これだけ手間をかけても慣行栽培より3割ほど減収になってしまいます。負担を減らして収穫量を確保するには除草剤を使うのが手っ取り早いのですが、自分が安全だと思うものを他の人にも食べてもらいたいという思いから、無農薬にこだわり続けています。いつか食味鑑定全国大会で賞を取って、上郡町のにこまるを全国の人に知ってもらうのが夢ですね」。