総力取材記事

良質な水で作るとろ〜り湯葉に、米と鴨鍋で知るアイガモの実力。但馬牛、松葉ガニ、ちくわに笑顔

良質な水で作るとろ〜り湯葉に、米と鴨鍋で知るアイガモの実力。但馬牛、松葉ガニ、ちくわに笑顔

4湯がわく「おんせん天国」職人の勘と技術がさえる湯葉

兵庫県北部の但馬地方、鳥取県に接する新温泉町は、北は日本海、南は氷ノ山後山那岐山国定公園の1000メートル級の山々に囲まれた自然豊かなまちだ。

町内を流れる岸田川の上流にある「猿壺(さるぼ)の滝」。落差はわずか5メートルだが、人気の観光スポットだ
古くから北前船の寄港地として栄えた諸寄港。城山園地に登ると絶景が見られる

町名の通りの「おんせん天国」で、町内には高温と豊富な湯量が特徴の「湯村温泉」をはじめ、「浜坂温泉」に「七釜温泉」、「二日市温泉」と泉質が異なる4つの温泉がわく。

高温と豊富な湯量で知られる「湯村温泉」。温泉街の中心にある元湯「荒湯(あらゆ)」の温度は98℃もある

自然の恵みがもたらす返礼品のラインアップは肉に海鮮、米、酒などと幅広い。まずおすすめしたいのが湯葉だ。「森昌食品」は、厳選された大豆と良質な水で湯葉を製造し、全国のホテルや旅館、高級料亭などに卸している。
同社社長の中井修さんは「湯葉づくりで一番肝心なのは、携わる人」と言う。豆乳を加熱し、表面に張った薄い膜を引き上げて作る湯葉は、時間も手間もかかる究極のスローフード。「湯葉の張り方は、季節や気温、湿度によってものすごく違う。他の工程はある程度機械化できても、引き上げ作業は、熟練した職人の勘と技術がないと、思い通りの湯葉ができません」

森昌食品社長の中井修さん。同社では湯葉の製造から加工までを一貫して担う
豆乳の表面に張った薄い膜を引き上げるのは熟練の技だ

プロの料理人を相手に商品を作り続ける同社が返礼品として提供するのが、刺身や蒸し上げ、炊き上げた湯葉など6品をセットにした「湯葉ざんまい」と「あんかけ湯葉と新丈椀」だ。冷やしてそのままで、湯せんでと、家庭で簡単に本格湯葉料理が楽しめる。

湯葉をいろいろな形で楽しめる「湯葉ざんまい」

ご飯の上に湯せんしたあんかけ湯葉を載せれば湯葉どんぶりに。カニ身や甘エビを使ったしんじょうを湯葉で包んだ新丈椀は、湯せんしておわんに注ぐだけ。

湯せんなど簡単なひと手間で、本格湯葉料理が味わえる

「心を込めた湯葉料理を、ぜひご家庭で楽しんでいただきたい。お食べいただく時の笑顔が何よりの僕らのごちそうです」と中井さん。特別な日はもちろん、少しぜいたくな気分を味わいたい時にもどうぞ。

米作りとアイガモの飼育で実践する「自然循環農法」

アイガモ農法で「自然循環農法」を実践する「オーガニックファームたにぐち」の「但馬鴨鍋セット」と「久斗川清流米」もおすすめだ。同町の返礼品ベスト3に入る但馬鴨鍋セットは、但馬鴨の肉とつくね、ガラでとっただし、アイガモ米のもち、玄米うどんのセットだ。鍋でぐつぐつと煮ると、鴨の滋味があふれる。コシヒカリの久斗川清流米も「昔懐かしい味」が好評だ。

鴨肉の脂は融点が低く、あっさりとした味わい。「但馬鴨鍋セット」は、最後のだしまでおいしく食べられる
無農薬にこだわった「久斗川清流米」。自然のエネルギーを生かして栽培する

ファームを運営する農事組合法人「アイガモの谷口」は、1992年からアイガモ農法を始めた。稲の栽培期間中は農薬を使わず、田んぼに放ったカモに草や害虫を食べてもらう。稲はカモのふんを栄養にして成長し、秋には無農薬米を収穫する。

アイガモ農法で米作りをし、飼料用米を栽培してアイガモを育てることが美しいふるさとを守ることにつながる

役目を終えたカモは大きく育て、出荷してきたが、年々需要が高まり、現在は稲作用とは別に、食用として常時約2500羽を飼育している。特産品「但馬鴨」として商標登録も行った。
食用のカモはストレスをかけないように平飼いし、自分たちで作った飼料用米をえさとして与える。

食用として常時約2500羽のアイガモを飼育。ストレスを与えないように平飼いにしている

同法人の代表理事、谷口正友さんは「飼料用米の栽培は農地の保全につながります。鴨肉を食べてくれる人がいることで、農地を守ることができるのです」と話す。

農事組合法人「アイガモの谷口」代表理事の谷口正友さん(左)と息子の正樹さん。「自然循環農法」を実践する

アイガモ米やアイガモを食べることが美しい田園風景を守ることにつながる、とは素敵なことではないだろうか。

むかなくていい「松葉ガニ」〝生〞で味わうハタハタ

続いては、特産品の「松葉ガニ」をはじめとした海産物だ。町内には浜坂や諸寄など5つの漁港があり、1年を通じてさまざまな魚介が水揚げされる。特に、ズワイガニのオスである松葉ガニは、日本有数の水揚げ量を誇る。

明治時代に創業し、地元の漁港で目利きした魚介の販売や加工を行ってきた「山米」が自信を持って提供するのが、「松葉ガニ夫婦 宝箱」だ。松葉ガニの身とカニみそ、ズワイガニのメス「セコガニ」の身を出して甲羅に盛り付けた「セコガニ甲羅盛り」、セコガニのみそ煮込みの4品が入り、心ゆくまでカニを堪能できる。

「松葉ガニ夫婦 宝箱」は松葉ガニとセコガニを思う存分堪能できる
身や卵などを載せた「甲羅盛り丼」は絶品

特筆すべきは、松葉ガニとセコガニの身が全て取り出されていることだ。カニを味わうまでの長い道のりとなる「むく」手間が省かれているのである。これはすごい。そのまま食べれば自然な甘みが味わえるし、あつあつご飯に身とカニみそを盛ってカニ丼にするのもありだ。

身を全て取り出して盛り付けた「セコガニ甲羅盛り」は人気商品だ

セコガニのみそ煮込みは町の郷土料理。ぶつ切りにしたカニを煮てみそで味を調えた品で、お酒のあてやトースト、パスタなどに利用できる。

同社の山本ゆかりさんは「今は作る家庭が少なくなってきたので、廃れないよう新温泉町の味を知っていただければうれしい」と話す。

「山米」でインターネット通販などを担当する山本ゆかりさん。「地物と無添加にこだわって販売しています」

自家製の「とろハタハタ漬け丼」と「ブリコ醤油漬け」の詰め合わせもなかなかの逸品。仲買人として約50年、魚を目利きしてきた同社の山本静夫社長が、1年で一番脂が乗った時期の大きな「とろハタハタ」やその「ブリコ」(卵巣)を醤油やみりん、酒などに漬けて生で食べられるようにした。加熱調理したものとはまた違った食感や味わいを楽しんでほしい。

「とろハタハタ漬け丼」と「ブリコ醤油漬け」は、魚のプロならではの商品。ハタハタを生で味わえる、珍しい一品

「但馬牛」はとろける旨さ、幅広く使える完熟ハチミツ

特産品では黒毛和牛「但馬牛」も外せない。「和牛の祖」といわれ、神戸牛や松阪牛、近江牛など全国の銘牛の99%以上が但馬牛の血統だという。

赤身とサシとのコントラストが食欲をそそる「但馬牛」

新温泉町がある美方郡では、人間の戸籍にあたる「牛籍簿」を作成し、但馬牛を管理、育種改良している。もともとは繁殖のための子牛が有名だったが、ここ20年ほどで肉牛としても知名度が上がり、肥育農家も増えてきた。

2017年にオープンした「道の駅 山陰海岸ジオパーク 浜坂の郷」は、町内の農家が育てた但馬牛やはちみつなどを返礼品として提供する。但馬牛の特徴は脂の質だ。道の駅の運営会社「特産しんおんせん」の駅長、中井洋祐さんは「他の品種と比べて融点が低く、旨み成分のオレイン酸やイノシン酸の数値が高い。そこが舌で溶けるおいしさにつながっている」と話す。

「道の駅山陰海岸ジオパーク浜坂の郷」の運営会社「特産しんおんせん」の駅長、中井洋祐さん

中井さんによると、返礼品の肉は冷凍で届けるため、冷蔵庫で1日かけてゆっくり解凍するとドリップの量が少なく、旨みも逃げないという。塩コショウでシンプルに焼くのがおすすめだ。わさびで食すとよりおいしい。

塩コショウで焼き、わさびで食べるのがおすすめ。わさびがぴりりと肉の旨みを引き立てる

はちみつは、同町の「岸本養蜂場」が丹精した品を提供する。添加物を使わない、純度100%の完熟ハチミツは、パンケーキにかけたり、料理の隠し味にしたりとさまざまな用途に使える。

純度100%の完熟ハチミツは、そのまま食べてもおいしい

バラエティー豊かな新温泉町の返礼品。楽しみながら選んで、気になる一品からまちの魅力に触れてほしい。

新温泉町のお礼の品のクチコミ

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自治体情報

兵庫県新温泉町(しんおんせんちょう)

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