ふるさと納税最前線! 文化財を守り伝える京都府基金
古都・京都には神社仏閣をはじめ貴重な文化財が数多くある。京都府はそれらの文化財を未来へ向けて良好な状態で残していくため、ふるさと納税制度を活用する「文化財を守り伝える京都府基金」を2008年7月に設置した。以来、京都府は寄付金の使い途を文化財保護に限定した全国唯一の取り組みを続けている。その内容は大きく分けて3つあり、①京都府内の歴史的建造物などの有形文化財の保存・修理のための事業②地震・火災などから有形文化財を守るための事業③文化財保護の普及啓発事業――を推進する。歴史的建造物や有形文化財などを未来に残すべく、基金の設置から15年間で約250件の文化財修繕や保護対策が施されてきた。
また、京都府は寄付者へのお礼の品として、文化財に対する親しみを深め、保護の必要性を知ってもらうことを目的とした文化体験イベントを開催している。寄付者からは「京都の文化財を後世に残してほしい」との熱い声も届く。同府文化政策室の小泉慶治さんは「京都に訪れて、京都の文化財の大切さを感じ、ひいては、ご自身の身近にある文化財の保護のこころも育ててほしい」と胸の内を明かす。文化財そのものだけでなく、保護のこころも育む取り組みに今後も期待したい。
寄付金を活用した取り組み事例
日本聖公会桃山基督教会礼拝堂の屋根・外壁修理
1936(昭和11)年に建てられた日本聖公会桃山基督教会礼拝堂は、現存する和風の教会堂として価値の高い建造物。建築以来の風雨で劣化したため、令和3年度に寄付金を活用して、かわら屋根と外壁の修理を行った。
長岡天満宮社務所(連歌所)玄関の屋根修理
1914(大正3)年に建てられた長岡天満宮社務所(連歌所)は、檜皮葦唐破風造の外観をした貴重な建物。経年により屋根材の劣化が著しいため、令和4年度に寄付金を活用して屋根の修理を行った。
京都府が用意する体験型返礼品
京都府のふるさと納税では、京都が世界に誇る文化体験イベントを寄付者へ向けて体験型のお礼の品として提供している。
清水寺夜間特別拝観
清水寺夜間特別拝観は、一般向けに開催される拝観開始前夜に、寄付者のみで拝観できるイベント。例年、春と秋の2回行われ、春は桜、秋は紅葉の季節に、ゆっくり見物できるのがうれしい。夜空に向かって放たれる青い一筋の光は、観音様の慈悲の心を表したもの。幻想的な風景に癒されて、思い出に残る夜となるはずだ。
フタバアオイオーナー・葵まつり祭特別観覧
1400年余りの歴史を持つ、葵祭では、社殿の御簾をはじめ勅使や奉仕者の装束、御所車に至るまで、フタバアオイが飾り付けられる。葵祭の名称は、ここに由来し、寄付者は葵祭を支えるための「フタバアオイオーナー」となり(株分けしたフタバアオイの苗を育てる)、翌年の葵祭では上賀茂神社で特別観覧できる。