ふるさと納税のデメリット6つと「利用しないほうがいい人」の条件

ふるさと納税は、税控除を受けられるうえに返礼品をもらえる、メリットの大きい制度です。
しかしふるさと納税の仕組みを理解していないと、せっかくのメリットを享受できないばかりか、損をしてしまう可能性があります。
この記事では、ふるさと納税のデメリットを解説するとともに、利用しないほうがいい人の条件についても紹介します。

目次

ふるさと納税の仕組みとメリット

ふるさと納税は、任意の自治体に寄付(納税)することができる制度です。
どのような仕組みで、どんなメリットがあるのか簡単にみてみましょう。

【メリット】

①住民税や所得税が控除される

ふるさと納税では、寄付した金額に応じて税金の控除を受けることができます。
寄付金額から自己負担金2,000円を引いた金額が、翌年の所得税から還付され、また住民税で控除されます。
還付・控除される金額の上限こそあるものの、翌年の税負担が少なくなることがふるさと納税のメリットの1つです。

②返礼品がもらえる

ふるさと納税で寄付を受けた各自治体は、お肉やお米をはじめとした地域の特産品(地場産品)を「返礼品」として用意しています。返礼品は寄付金額の3割以内に相当するものと決まっていますが、多くの場合は自己負担金(2,000円)以上のものが選べます。これこそが「ふるさと納税は魅力的」と言われる理由です。

③使用目的を選ぶことで地域を応援できる

ふるさと納税では、寄付する自治体だけでなく寄付金の使い道を選ぶこともできます。
自治体によって、教育や子育て、まちづくり、産業振興、災害支援などさまざまな使い道が用意されています。自分が育ったふるさとや愛着のある地域を、寄付によって応援することもできます。

メリット

ふるさと納税のデメリット6つ

【ふるさと納税のデメリット】

  1. ①節税の効果はない
  2. ②控除限度額を超えると自己負担になる
  3. ③確定申告が必要になる場合がある
  4. ④金額にかかわらず自己負担2,000円は必ずかかる
  5. ⑤寄付した年は持ち出しになる
  6. ⑥名義が違うと所得税も住民税も控除されない

①節税の効果はない

ふるさと納税は節税ができる制度だと勘違いされている方もいるかもしれません。もし税金を減らしたいのであれば、ふるさと納税は適していないので注意しましょう。

ふるさと納税は自己負担金の2,000円を超える部分について、寄付という形で税金を任意の自治体に「前払い」する制度です。
その前払いした額が翌年、所得税や住民税から還付・控除されるだけなので、税金の額自体が軽減されるわけではありません。
しかし寄付した自治体からは、2000円の自己負担で、寄付金額の約3割の返礼品を受け取れるので、メリットがある制度といわれているのです。

②控除限度額を超えると自己負担になる

1年間に寄付した金額のうち、2,000円を除いた残りの金額が、本来負担すべき所得税や住民税から控除されます。
ただし控除される額には上限があります。上限額を超えて寄付した場合、超過分は自己負担となり、ふるさと納税のメリットが失われてしまいます。
控除上限額は収入や家族構成、住宅ローンの有無で変動します。シミュレーションツールなどを利用し、余裕を持った金額で寄付をしましょう。

控除限度額シミュレーションはこちら

③確定申告が必要になる場合がある

ふるさと納税は利用すれば控除が受けられる制度ではありません。所得税の還付や住民税の控除を受けるためには、確定申告をする必要があります。
「確定申告」と聞くと躊躇する方もいると思いますが、ふるさと納税にはこうした税制控除の手続きを簡単に済ませることができる「ワンストップ特例制度」というものがあります。
ただし利用するには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 確定申告が不要な給与所得者である
  • 年間の寄付先が5自治体以下

「面倒な確定申告はやりたくない」という人は、寄付する自治体の数に気をつけましょう。
また給与所得者でも、住宅ローン控除や医療費控除のために確定申告をする場合は、寄付先が5自治体以下でも確定申告をしなければならないので注意しましょう。

ワンストップ特例制度について詳しくはこちら

④寄付金額にかかわらず自己負担2,000円は必ずかかる

自己負担金は、寄付金の額にかかわらず一律2,000円です。つまりたくさん寄付をすれば自己負担率の割合は低くなり、寄付金の額が少ないと自己負担率が高くなります。

例①寄付金5,000円の場合
5,000円-自己負担2,000円=控除額3,000円
例②寄付金50,000円の場合
50,000円-自己負担2,000円=控除額48,000円
※控除額には上限があります。

⑤寄付した年は持ち出しになる

ふるさと納税は1年間の寄付金を合計し、その後、確定申告やワンストップ特例により所得税や住民税の還付・控除を受けるという仕組みです。寄付をした年に控除を受けられるわけではありません。
例えば、2022年に寄付をした場合、所得税の還付を受けられるのは2023年3月以降、住民税の控除は、2023年6月〜2024年5月です。
還付、控除により寄付した額は戻ってはきますが、寄付した年は持ち出しになることを考慮しましょう。
余裕がない状態で無理に寄付すると大きな負担になるので注意しましょう。

⑥名義が違うと所得税も住民税も控除されない

ふるさと納税では、寄付した人と支払いをする人が同一でないと、所得税や住民税の還付・控除は受けられません。
例えば、妻が自分名義で寄付をし、支払いは夫名義のクレジットカードだった場合、寄付した人と支払いをした人が同一ではないため、控除の対象にはならなくなってしまいます。
ふるさと納税のポータルサイトを利用する際は、アカウント名(寄付する人)と登録するクレジットカードの名義が同一であることを確認しましょう。

ふるさと納税をしないほうがいい人って?

ふるさと納税は、寄付した金額から自己負担金2,000円を引いた額が、支払うべき税金から減額される(税額控除が受けられる)制度です。

ふるさと納税をしないほうがいい人って?

①住民税を払っていない

もともと住民税など税額が発生していない人は控除する税金がありません。

  • 扶養に入っていて住民税を払っていない人
  • 住民税非課税世帯の人
  • 自営業で赤字の申告をしている人

上記のような人は、いくらふるさと納税を利用しても、全額寄付したことになってしまうので注意しましょう。

②年収が低い

ふるさと納税の控除限度額は、年収や家族構成など条件によって変わりますが、年収が低ければ低いほど寄付できる限度額は低くなります。
例)年収300万円、配偶者(専業主婦)、子供1人(高校生)で、控除限度額の9,000円を寄付した場合
還元率3割の返礼品(2,700円相当)を受け取っても、自己負担金2,000円を差し引くと、プラスになるのは700円分のみです。
例のように、寄付をしてもメリットはほとんどなくなってしまいます。
また各自治体が用意している返礼品は、寄付額が5,000円以上の場合が多く、寄付できる限度額が低いと、選べる返礼品も少なくなります。

③退職金を受け取った

「退職金でふるさと納税をいっぱい利用して税額控除をたくさん受けよう」と思う方もいるかもしれません。しかし退職金は税制上の優遇があり、所得税や住民税が多くならないようになっています。そのため、退職金でその年の収入が増えても控除限度額が大幅に上がることがありません。
それなのにふるさと納税をたくさん利用すると、限度額を超えてしまい、その分は自己負担金となるので注意しましょう。

④節税効果を求めている

ふるさと納税は、自治体に寄付をするとそのお金が本来納めるべき所得税や住民税から控除されるという制度です。あくまでも寄付であり、税金の額を減らす節税効果がある制度ではないため、税金を抑えたい人には向いていません。

⑤お金に余裕がない

ふるさと納税の税額控除は、寄付をしたらすぐに受けられるわけではなく、翌年の住民税や所得税で控除されます。いわゆる前払いの制度ともいえるので、現在お金に余裕がないという人は無理をして利用する必要はないでしょう。

利用する前に知っておきたい!よくあるふるさと納税の失敗例

ケース①返礼品を受け取っただけで申請の手続きをしなかった

申請手続きをしないと、所得税・住民税の控除は受けられません。
申請の手続き方法は、

  • 確定申告
  • ワンストップ特例

の2種類です。ワンストップ特例は、自治体から送られてくる「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」に必要事項を記載し自治体に郵送すれば手続きは完了です。
手間がかかる確定申告に比べて手続きが簡単といわれるワンストップ特例ですが、手続きをしない限りふるさと納税を利用しても控除を受けることはできません。
返礼品が届いたことに満足して、申請の手続きを忘れてしまうことがないよう注意しましょう。

ケース②ポータルサイトで気になる返礼品を見つけては寄付をしていたら・・・

申請手続きが簡単なワンストップ特例を利用するには、

  • 寄付する自治体数が年間5自治体以下

という条件があります。
ふるさと納税のポータルサイトは、ネットショッピングのように気軽に利用できるものが多く、「いつの間にか寄付した自治体数が5つを超えてしまった」ということも。年間に寄付する自治体数が6以上だと、確定申告をしなくてはならなくなるので気をつけましょう。

ケース③寄付金受領証明書をなくしてしまった

寄付金受領証明書は、確定申告の際に必要な重要書類です。
寄付した自治体から通常1か月程度で届くのですが、その年の確定申告は翌年の3月に行います。紛失すると再発行ができない場合もあるので、確定申告まで失くさないよう保管しておきましょう。

ケース④パートで年収を103万円以下に抑え税金を払っていないのに、話題のふるさと納税を利用したら・・・

税額控除を受けられるのがふるさと納税のメリットの一つです。その点を理解せず、ただ話題になっているからと利用してしまうと、全額寄付をしただけという利用の仕方になってしまいます。

ケース⑤住宅を購入し住宅ローンを組んで、ふるさと納税を利用したら・・・

住宅ローン減税を受けると、その控除分で所得税がゼロになる場合があります。この場合、ふるさと納税で受けられるはずだった所得税からの控除は受けられません。ただし、住民税の控除は受けることができます。

ふるさと納税はデメリットもある

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