17-108 北海道オホーツク海産ホタテ玉冷(1kg)
寄付金額17,000円
ふるさと納税では寄付額に応じて税金の控除額も増えるため、退職金にかかる税金もふるさと納税で控除できるのでは?と思うかもしれません。
この記事では、そもそもふるさと納税とはどのような制度なのかを踏まえた上で、退職金で控除対象になる税金や税額の計算方法などを詳しく解説します。
基本的に退職金を一時金形式で受け取った場合について解説していますが、退職金を年金形式で受け取った場合はどうなるかについても触れています。
また、退職金を受け取った年のふるさと納税の申告方法についてもまとめました。
目次
ふるさと納税とは、本来居住地に支払うべき税金を任意の自治体に「寄付」として納めることで、税金の控除を受けられる仕組みです。
控除される金額は寄付金額の合計から2,000円を引いた額で、所得税と住民税から控除されます。
さらに、寄付額に応じて各自治体の特産品を受け取れることも魅力のひとつです。
ふるさと納税で控除を受けられる寄付の上限額(=控除限度(上限)額)は、年収や家族構成によって決められており、基本的に収入が多いほど上限額が高くなります。
では、定年退職や転職などで企業から退職金を受け取った年は、ふるさと納税の控除限度(上限)額は上がるのでしょうか?
「退職金を受け取った年は年収が増えるのだから、控除限度(上限)額が上がり、その分控除が受けられるのでは?」と思われますが、実は、退職金によってふるさと納税の控除限度(上限)額が大幅に上がることはありません。
次項では、退職金を受け取っても控除限度(上限)額が大きく上がらない理由と、それでもふるさと納税を行うことのメリットについて、詳しく解説します。
退職金を一度に受け取る退職一時金は、日本の税制上「退職所得」とみなされ、所得税・住民税の課税対象です。
ふるさと納税では所得税と住民税が控除されるため、「退職金にも所得税と住民税がかかるなら、ふるさと納税を行って控除を受けたい」と考える方は多いです。
しかし、ふるさと納税での控除対象となるのは、特殊な例を覗けば所得税のみ。住民税は控除対象外です。
それはなぜでしょうか?
住民税は、原則として「前年の所得に対して課税金額が計算され徴収」されます。
しかし、退職金にかかる住民税は通常の計算方法とは異なり、退職する年に徴収されます。
これは「現年分離課税」といって、“支給される退職金から天引きで徴収される”特別な形をとっているのです。
そのため、前年の所得を元に計算して控除を行うことができず、ふるさと納税の控除対象外となっています。
簡単に言えば、「控除を受ける前に徴収される」ということです。
非常にまれな例ですが、以下の場合は、例外としてふるさと納税でも住民税が控除されます。
多くのケースにおいて、ふるさと納税では退職金にかかる住民税を控除できないことを説明しました。
では、所得税についてはどうでしょうか。
退職金にかかる所得税はふるさと納税の控除対象ですが、年収に退職金をプラスしても、ふるさと納税の控除限度(上限)額は増えないことが多いです。
その理由は、退職金に対する控除にあります。
退職金は「長期労働に対する報奨金である」という考えに基づき、他の所得とは別に税制優遇措置が取られています。
これを「退職所得控除」といい、退職金に対する所得税の負担が大幅に軽減されます。
ふるさと納税の控除限度(上限)額を計算する時は、退職金の全額を年収に含むのではなく、多額の退職所得控除を受けた後の「所得」を元に計算します。
そのため、退職金があってもふるさと納税の控除限度(上限)額はほとんど変わらないことが多いのです。
退職金を一時金で受け取る場合、課税対象になる退職金(退職所得)は、勤続年数によって以下の計算式で計算できます。
退職所得=(退職金収入-退職所得控除額)×1/2
ここでは、勤続30年、退職金2,500万円の場合を例とします。
退職所得控除額は、勤続年数が20年を超えるかどうかで計算式が変わります。
勤続年数 | 退職所得控除額 |
---|---|
20年以下 | 40万円×勤続年数(※最低80万円) |
20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
勤続年数30年の場合、退職所得控除額は以下の通りです。
★800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円
勤続年数は、切り上げで計算します。例えば、勤続年数が29年と1日だった場合は30年として計算します。
なお、「退職金収入-退職所得控除額」の結果が0円以下の場合、退職金に税金はかかりません。
所得税率をかけるための退職所得「(退職金収入-退職所得控除額)×1/2」を計算します。
★2,500万円-1,500万円×1/2=500万円
勤続30年、退職金2,500万円の場合、課税対象の退職金は500万円となります。
上記のように、退職金は大幅に控除された上でさらにその半分だけが課税対象になります。
いかに退職金が税的に優遇されているかがわかりますね。
実際にかかる所得税を計算するには、下記の表で当てはまる課税総所得金額(A)の税率(B)をかけ、控除(C)します。
課税総所得金額(A) | 税率(B) | 控除額(C) |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | - |
195万円超 330万円以下 | 10% | 9.75万円 |
330万円超 695万円以下 | 20% | 42.75万円 |
695万円超 900万円以下 | 23% | 63.60万円 |
900万円超 1,800万円以下 | 33% | 153.60万円 |
1,800万円超 4000万円以下 | 40% | 279.60万円 |
4,000万円超 | 45% | 479.60万円 |
今回の事例では、課税退職所得(A)は500万円のため、税率(B)は20%、控除額(C)は42.75万円です。
★500万円×20%-42万7500円=57万2,500円
2037年までは、上記に復興特別所得税(2.1%)を掛けた金額が追加されます。
★57万2,500円×2.1%=1万2,022円
つまり、勤続年数30年の方の退職金2,500万円に対してかかる税金は、
★所得税額57万2,500円+復興特別所得税額1万2,022円=58万4,522円
となります。
退職金によって、ふるさと納税の控除限度(上限)額が大幅に上がることはなく、退職金の節税効果は見込めません。
しかし、退職した翌年は、前年の高い給与で計算された住民税が課されます。
そのため、翌年の住民税額の控除が受けられるふるさと納税は、退職金の有無にかかわらず行っておいた方がメリットは大きいでしょう。
そもそも、ふるさと納税自体は節税にはなりません。
あくまで「税金の前払い」であり、税金が減額されるわけではないのです。
しかし、本来「ただ支払うだけ」だった税金を任意の自治体に「寄付」として前払いすることで、所得税の還付や翌年の住民税の控除が受けられ、さらに寄付先の自治体から返礼品を受け取れます。
また、自分の故郷や任意の自治体を「税収の増加」という形で応援できます。
ふるさと納税は、寄付者にも寄付を受けた自治体にも嬉しい制度なのです。
退職金は、複数回に分けて年金として受け取ることもできます。その場合、「退職所得控除」ではなく「公的年金等控除」の対象になります。
公的年金等の収入合計が、65歳未満で60万円以下・65歳以上で110万円以下であれば、所得税・住民税がかかりません。
控除を超えた分は「雑所得」として計上されるため、所得税・住民税がかかります。
退職年金の受け取り額が大きいと、ふるさと納税の控除限度(上限)額に影響する場合もあります。
公的年金等控除は、下記の早見表で計算できます。
ここでは、65歳以上、退職年金が300万円、公的年金が100万円ある場合を例とします。
公的年金等の収入額の合計額(A)は、以下の通りです。
★退職年金300万円+公的年金100万円=400万円
400万円は上表の「330万円以上410万円未満」にあたります。ここから、公的年金等に係る雑所得の金額(B)を計算します。
★400万円×0.75-27万5,000円=272万5,000円
前項「退職金を一時金で受け取る場合」の「③所得税を計算する」に掲載している表を用いて計算します。
★272万5,000円×10%-9万7,500円=17万5,000円
2037年までは、上記に復興特別所得税(2.1%)を掛けた金額が追加されます。
★17万5,000円×2.1%=3,675円
退職金を年金として受け取る場合、上記所得税に加え住民税もかかります。
住民税は、課税所得に対して一律10%です。
★272万5,000円×10%=27万2,500円
つまり、65歳以上、退職年金が300万円、公的年金が100万円ある方の税金は、
★所得税額17万5,000円+復興特別所得税額3,675円+住民税27万2,500円=45万1,175円
となります。
税金だけで考えた場合、年金形式で受け取るよりも、一時金で受け取った方が税金を多く払うように見えます。
しかし、「退職所得控除」で大幅な税額優遇措置を受けられる一時金形式と違い、年金形式で受け取る場合は「雑所得」として扱われるため、社会保険料などの計算に影響が出ることがあります。
ふるさと納税に関しては、一時金でも年金でも控除限度(上限)額に大きな差がないケースが多いため、退職後の過ごし方からしっかり考えるといいですね。
退職後に住宅ローンや教育費の負担がある場合は、ローン返済による利息分の消滅や教育費への心理的不安などから一時金で受け取る方が有利になることがあります。
また、退職金の受け取り方は一時金と年金形式を併用できる企業もあります。
ふるさと納税は、寄付をしたら自動的に税金の控除を受けられるわけではありません。
どれだけ「入金確認メール」や「返礼品発送連絡」などのやり取りがあっても、自分で申告しないと控除は受けられないため注意が必要です。
ふるさと納税の申告方法には、「確定申告」と「ワンストップ特例制度」の2種類があります。
ここでは、それぞれの手続き方法を解説します。
ふるさと納税をしていない場合、退職前に「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出していれば、退職金を受け取っても確定申告は原則不要です。
しかし、退職する年にふるさと納税を行っている場合は、上記申告書を提出していても、退職金にかかる税金の控除を受けるために必ず確定申告を行いましょう。
退職金でふるさと納税の控除を受けるほか、以下の場合は確定申告が必要です。
退職する年に行ったふるさと納税の確定申告は、翌年の原則2月16日〜3月15日に行います。
確定申告を行うと受けられる所得税の控除(還付金)は、確定申告をしたおよそ2か月後に、申告時に指定した口座に振り込まれます。
確定申告でふるさと納税の控除を申告する場合、「寄附金受領証明書」が必要です。
これは、寄付をするたびに寄付先の自治体から送られる書類で、すべての寄付分を提出するため、なくさないようにしてください。
万が一紛失してしまった場合は、速やかに寄付先の自治体に連絡しましょう。自治体によっては再発行してくれるところもあります。
なお、ふるさと納税ニッポンで寄付を行うと、複数の寄附金受領証明書の代わりに「寄附金控除に関する証明書」1枚の提出で済みます。
「寄附金控除に関する証明書」はサイトからダウンロードでき、寄付金受領証明書を取っておく必要がないのでおすすめです。
そのほか、本人確認書類の写しや印鑑、源泉徴収票、還付金の受取用金融機関口座を用意しましょう。
ふるさと納税は、年収や家族構成などで控除限度(上限)額が決められています。
月収を12倍してしまいがちですが、退職する年は退職月によって年収が大きく変わるため、限度額の確認にはより注意が必要です。
限度額を超えた分は自己負担となり税金の控除が受けられないため、限度額の確認は退職月に合わせて必ず行いましょう。
また、ふるさと納税は退職に関わらず1月1日〜12月31日に行ったものが翌年の確定申告対象です。
寄付の決済が年明けに1日でもずれ込んでしまうと、その寄付は翌年分のものになります。
退職した翌年に収入が見込めなかった場合、控除限度(上限)額を超えてしまい控除が受けられなくなることがあります。
限度額の確認同様、寄付のタイミングにも注意してください。
確定申告について、詳しくは「ふるさと納税と確定申告の関係を理解しよう」をご覧ください。
ワンストップ特例制度は確定申告をせずにふるさと納税の控除が受けられる便利な仕組みですが、退職金にかかる税金の控除では利用できません。
ワンストップ特例制度を利用した場合、所得税・住民税の両方から控除が受けられる確定申告と異なり、全額が住民税から控除されます。
しかし、「退職金でふるさと納税の控除対象となるのは所得税のみ」の項目で解説した通り、ふるさと納税で退職一時金にかかる控除のうち住民税は対象外のため、ふるさと納税による控除が受けられなくなってしまうのです。
なお、退職金を一時金ではなく年金形式で受け取る場合には、ワンストップ特例制度が利用できます。
ワンストップ特例制度を利用するには、以下の条件を満たす必要があります。
ワンストップ特例制度では、確定申告を行わない代わりに「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」(「ワンストップ特例申請書」とも呼ばれます)を寄付するたびに寄付先の自治体へ送付します。
ふるさと納税の返礼品を申し込む際に「ワンストップ特例制度を利用する」というチェックボックスにを入れると、申請書が寄付先の自治体から送付されるので、そちらに必要事項を記入して返送してください。
前述の通り、ワンストップ特例制度を利用すると全額が住民税から控除されますが、控除合計額は所得税・住民税から控除される確定申告時とほとんど変わりません。
ワンストップ特例制度について、詳しくは「ワンストップ特例制度とは」をご覧ください。
退職金に対しては大幅な税制優遇措置が取られているため、退職金の有無によってふるさと納税の控除限度(上限)額が大きく変わることはほとんどありません。
しかし、ふるさと納税を行うと退職金とは関係なく翌年の税控除を受けられるため、退職後に収入が減る場合は特にメリットがあります。
また、少ない自己負担額で全国各地の特産品を楽しめる返礼品もとても魅力的なので、上手に活用したいですね。