ふるさと納税で控除されたか確認しよう

ふるさと納税を行うと、所得税は「還付金」という形で現金が手元へ戻ってくるため控除されたことがわかりやすいですが、住民税は税額控除のためきちんと控除されているかどうか不安を感じる方も多いと思います。
当ページでは、ふるさと納税で住民税からきちんと税額控除がされているかどうか、確認方法を詳しく解説します。
ワンストップ特例制度と確定申告それぞれの場合の確認方法と、控除額が予定と異なっていた場合・申請を忘れていた場合の対処法のほか、控除額の確認方法についてよくある質問もまとめました。

目次

1.ワンストップ特例制度を利用した方

確認のために必要な書類:住民税決定通知書

ワンストップ特例制度を利用すると、控除全額が住民税から控除されます。
この場合、確認するには「住民税決定通知書」を使用します。住民税決定通知書について、詳しくは次々項目で説明いたします。

住民税決定通知書の「摘要」という欄に、「寄附金税額控除額:○○円」という記載があります。

住民税決定通知書

住民税決定通知書

控除額には上限があり、収入や家族構成などによって変動します。 ご自身の寄付上限金額を確認するには、こちらの早見表が便利です。

自治体によっては、市民税と県民税それぞれの金額が書かれていることもあります。
それらの金額が、ふるさと納税でご自身が寄付した総額から自己負担分の2,000円を引いた額になっていれば、正しく控除されています。

≪例≫
ふるさと納税寄付金額合計/60,000円
住民税決定通知書摘要欄/寄附金税額控除額:58,000円

この場合、住民税決定通知書摘要欄に書かれている金額は58,000円です。 これに自己負担分の2,000円を足すと、ふるさと納税寄付金額合計の60,000円になり、正しく控除されていることがわかります。

「ワンストップ特例制度と確定申告、どちらをすればいいの?」という方はこちら

2.確定申告をした方

確認のために必要な書類:住民税決定通知書、確定申告書の控え(もしくは国税還付金振込通知書)

ふるさと納税で確定申告をした場合、所得税からは「還付金」、住民税からは「税額控除」の形で控除されます。
控除の合計金額は、ワンストップ特例制度を利用した時とほぼ同額です。
この場合、確認するには「住民税決定通知書」と、「確定申告書の控え」もしくは「国税還付金振込通知書」を使用します。
国税還付金振込通知書とは所得税の還付金振込を通知するハガキで、確定申告の1~2か月後に税務署から郵送されます。
住民税決定通知書について、詳しくは次の項目で説明いたします。

まず、所得税の還付金額を確認します。
確定申告の控えにある「還付される税金」欄、もしくは国税還付金振込通知書の「支払金額」に書かれています。

確定申告の控え

確定申告の控え
出典:総務省ホームページ「地方税分野の主な申告手続き等における様式【税目別】」
給与所得等に係る特別徴収税額の決定・変更通知書(納税義務者用)

国税還付金振込通知書

国税還付金振込通知書

次に、前項の「1.ワンストップ特例制度を利用した方」と同様に、住民税決定通知書に書かれている控除額を確認します。

住民税決定通知書

これらの合計が、ふるさと納税でご自身が寄付した総額から自己負担分の2,000円を引いた額になっていれば、正しく控除されています。

≪例≫
ふるさと納税寄付金額合計/60,000円
【所得税還付金】国税還付金振込通知書支払金額/5,921円
【住民税控除】住民税決定通知書摘要欄/寄附金税額控除額:52,078円

この場合、所得税の還付金5,921円+住民税決定通知書摘要欄52,078円=57,999円で、およそ58,000円です。
これに自己負担分の2,000円を足すと、ふるさと納税寄付金額合計の60,000円とほぼ同額になり、正しく控除されていることがわかります。

「ワンストップ特例制度と確定申告、どちらをすればいいの?」という方はこちら

住民税決定通知書って?

「住民税決定通知書」は、正式には「給与所得等に係る市町村民税・道府県民税 特別徴収税額の決定・変更通知書(納税義務者用)」と言います。
「住民税課税決定通知書」と呼ぶ自治体もあります。

これは、給与所得者の場合は勤務先から毎年5~6月に配布される横長の書類で、前年1月~12月までの年収を元に決定された住民税額と、6月から翌年5月にかけて給与から天引きされる予定の金額が記載されています。
この住民税が、ふるさと納税をしてワンストップ特例制度もしくは確定申告で申告すると、控除されて減額されます。

住民税決定通知書

住民税決定通知書の下部にある「摘要」欄に、寄附金税額控除額が記載されます。
これにより、ふるさと納税での住民税の税額控除が正しく行われているかどうかの確認ができます。

住民税決定通知書の入手方法は?

前項で解説した通り、給与所得者の場合は勤務先から配布されます。配布されない場合は、会社に請求しましょう。なお、給与所得者でも休職などによって給与から源泉徴収できない場合は、直接本人宛に送付されることがあります。
また、個人事業主やフリーランスの場合、「税額決定兼納税通知書」という名称で、納付書とともに直接本人に郵送されます。

なお、紛失してしまった場合は再発行できません。「なくしてしまったけど住民税額を知りたい」という場合は、居住地域の役所で手数料を払い、「課税証明書」などを発行してもらうことで確認できます。

住民税決定通知書の摘要欄に金額が書いていないときは

配布された住民税決定通知書の摘要欄に寄附金税額控除額が記載されていない場合は、市町村および道府県の税額欄から確認できます。

市町村および道府県の税額欄

上記画像の赤枠で囲まれた2か所「税額控除額⑤」に記載された金額の合計が、ふるさと納税の寄付金額合計から自己負担分2,000円を差し引いた金額とほぼ同額であれば、正しく控除されています。
なお、自治体の様式によっては「寄附金税額控除額」という欄がある通知書もあります。

ただし、この確認方法は受ける控除がふるさと納税のみの場合に限られます。
赤枠内には税額控除されるすべての控除額の合計が記載されるため、医療費控除や住宅ローン控除などふるさと納税以外にも控除がある人は確認できません。
その場合は、居住地の税務署にお問い合わせください。

記載された控除金額が寄付金額より少ないときは

住民税決定通知書に記載された控除金額が「寄付した金額の合計-自己負担分2,000円」よりも少ないことがあります。
その場合、理由として以下のことが考えられます。

確定申告をした

確定申告をすると、ふるさと納税の控除は所得税と住民税の両方から行われます。
所得税の控除は「還付金」の形で行われるため、住民税からの控除は還付金分を差し引いた金額になります
「住民税決定通知書に記載された控除金額+所得税からの還付金額」が「寄付した金額の合計-自己負担分2,000円」とほぼ同額であれば、正しく控除されています。

住宅ローン控除の金額が大きい

初めて住宅ローン控除を受ける場合は確定申告が必要ですが、2年目以降であれば、ふるさと納税のワンストップ特例制度が利用できます。
住宅ローン控除は所得税から大きく控除され、それでも控除しきれない分は住民税から控除されます。
この控除金額が大きくなると、もともと納めるべき住民税の税額を超えてしまい、ふるさと納税の寄付金控除は受けられなくなります

住民税の所得割額の2割を超えている

ふるさと納税では、住民税からの控除は最大で「所得割額の2割」と定められています。
住民税所得割額とは、所得に応じて住民税に課税される金額のことで、住民税決定通知書の下記赤枠2か所「所得割額⑥」の合計です。

【住民税決定通知書の所得割額欄】 ※自治体によって様式が異なります。

住民税決定通知書の所得割額欄

自治体や税務署の控除忘れなどのミス

上記3つの理由に当てはまらない場合、自治体や税務署の控除適用漏れなどのミスが考えられます。
実際に、過去手続きミスによる控除忘れが発生したことがあります。

控除金額が少なかったら、どうすればいいの?

上記の理由である可能性を検討しても控除金額に疑問がある場合は、以下の書類を用意して居住地の役所や税務署などに問い合わせてみましょう。

  • 住民税決定通知書
  • 寄附金受領証明書
  • 確定申告をした方は、確定申告書の控え

記載された控除金額が寄付金額より多いときは

前項とは反対に、住民税決定通知書に記載された控除金額が「寄付した金額の合計-自己負担分2,000円」よりも多いことがあります。
この場合、考えられる理由は以下の2つです。

ワンストップ特例制度を利用した寄付金額の合計間違い

控除金額が多い理由で最も多いのが、「寄付金額の合計間違い」です。
ワンストップ特例制度では寄付ごとに特例申請書を提出するため、初期の寄付を忘れてしまうことがあります。
ふるさと納税を行った自治体から送付された「寄附金受領証明書」の合計金額を、再度確認してみましょう。

ふるさと納税以外の控除も合計されている

摘要欄に記載された「寄附金税額控除額」ではなく、市町村および道府県の税額控除額を合計して計算した場合、ふるさと納税以外の控除額が合計されている可能性があります。
確定申告でふるさと納税以外に医療費控除などの申告をすると、住民税決定通知書には控除額が合算されて記載されるため、「寄付した金額の合計-自己負担分2,000円」よりも多くなります。

控除金額が多かったら、どうすればいいの?

上記の理由である可能性を検討しても控除金額に疑問がある場合は、以下の書類を用意して居住地の役所や税務署などに問い合わせてみましょう。

  • 住民税決定通知書
  • 寄附金受領証明書
  • 確定申告をした方は、確定申告書の控え

ふるさと納税の控除の申請を忘れてしまったときは

ふるさと納税の控除申請をし忘れていた、もしくは申請漏れがあった場合には、下記を参照してください。

状況 対応方法 期限
ワンストップ特例申請を忘れた
申請漏れがあった
確定申告または還付申告をする 確定申告:ふるさと納税をした翌年3月15日まで
還付申告:ふるさと納税をした翌年1月1日から5年間
確定申告をし忘れた
申請漏れがあった
更正の請求または還付申告をする 更正の請求:ふるさと納税をした翌年3月15日から5年間
還付申告:ふるさと納税をした翌年1月1日から5年間

ワンストップ特例制度を利用する予定だった方

ワンストップ特例制度は、1件でも申請をし忘れてしまったり、申請書類の1月10日自治体必着に間に合わなかったりすると全額は控除されません。
この場合、2月16日〜3月15日に確定申告を行いましょう
なお、ふるさと納税のみの申告であれば、「還付申告」となり1月1日から5年間申告できます。還付申告でも使用する書類は確定申告と同じものなので、税務署が混雑する時期を避けて提出できます。

確定申告を行った方

既に確定申告を行った方がふるさと納税の控除申請忘れに気付いた場合は、「更正の請求」という手続きを取ると寄付金控除を受けられます。
確定申告の期限から5年以内は申告可能なので、焦らずに修正しましょう。
手続きに必要な「更正の請求書」は、国税庁のホームページから入手できます。

ふるさと納税の確認方法についてのよくある質問

ふるさと納税の確認方法について、よくある質問をまとめました。

住民税の控除はいつから受けられるの?

控除合計額を12で割った金額が、ふるさと納税を行った翌年の6月から毎月1年間控除されます。

住民税決定通知書の金額と違う!どうすればいいの?

当ページで控除金額が少ない/多い場合の理由について解説していますが、確認・修正するためには以下の書類を用意して居住地の役所や税務署に確認しましょう。

  • 住民税決定通知書
  • 寄附金受領証明書
  • 確定申告をした方は、確定申告書の控え

ワンストップ特例制度を出したのに確定申告もしてしまった!大丈夫?

大丈夫です。ワンストップ特例制度と確定申告の両方を行った場合、ワンストップ特例制度は自動的に無効になり、確定申告が適用されます。
「ワンストップ特例制度を利用するつもりだったが、最終的に医療費控除など別の控除も申請することになった」というような場合も、既にワンストップ特例制度の申請を行った自治体に連絡する必要はなく、そのまま確定申告をすればOKです。

所得税と住民税のどちらから控除されるの?

確定申告を行うと、所得税からは「還付金」が、住民税からは「税額控除」が受けられます。
ワンストップ特例制度を行うと、全額が住民税から「税額控除」されます。
どちらを利用しても、控除される合計の金額はほとんど同じです。

「初めての方へ」に戻る

あなたにオススメのお礼の品

オススメのランキング

ふるさと納税ニッポン!SNS
Loading ...