ふるさと納税ニッポン!

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【ふるさと納税の未来を占う】<時代は「運営」から「経営」へ> ターニングポイント迎える自治体「顧客」はいったい誰なのか

ふるさと納税の未来を占う〜時代は「運営」から「経営」へ〜

「地元住民」から「域外の人たち」へ
 大いに盛り上がっているふるさと納税ですが、私のこの制度に対するスタンスは、「総論賛成」「各論は改善の余地がある」です。利用者にとって非常に「お得な」制度と言えますが、各自治体にとっても恩恵を大いにもたらしています。その理由として、都市部の住民が、自らの意志で地方にお金を流すようになったことがまず挙げられます。この収入は、寄附先の自治体にとって、ある程度自由に使えるお金だということが特長です。
 地方自治体は、どこも財源に余裕がなく、特別に受け取る追加予算も多くの場合、使用用途が限られています。しかし、ふるさと納税を通じて得たお金の多くは、こうした制限があまりなく、事実上自由に使えるお金であるということ、そして各自治体がそれなりに努力をして得たお金ということになります。
 いま自治体には「経営」という概念が芽生え始めているのです。これまでの自治体「運営」から「経営」へと変わりつつあると言えます。
 経営には、「お客様」が不可欠です。では、ふるさと納税において、自治体のお客様というのは誰になるのでしょうか。従来の発想ですと、自治体のお客様は第一の納税者である「地元住人」ということになります。しかし、これからの時代は、それに加えて「域外の人たち」も想定しなければなりません。
 ふるさと納税で得た自由なお金は、「投資」に使えることが特徴です。これは本来の自治体「運営」では考えられないことでした。そしてこの「投資」目的は、自治体の外から「人」や「企業」を呼び込むため、すなわち自治体の「域外の人たち」ということになります。
 こうした「投資」は、例えばまちの外から移住してくる人に対しての支度金を50万円なり100万円なりを支払うことが可能になります。しかし従来では、「なぜ自分たちが納めた税金を域外の人間に使うんだ」というような批判によくさらされることもありました。しかし、ふるさと納税の場合、もともとが地域の外から入ってきたお金ということになるので、ふるさと納税を原資とすることで、そこに投資しやすくなるのです。
 実際に、北海道のように、ふるさと納税をした納税者に対し、道外から町に来る人たちに交通費の一部を助成したり、町内の宿泊施設や公共施設を安く利用できる特典を与えているところもあります。
 このように、ふるさと納税によって、「お金」と「モノ」の流れがすでに生まれつつありますが、ここからさらに「人」の流れを都市から地方に生み出そうという狙いがあります。


ふるさと納税は自活のための助走期間
 しかし、ふるさと納税を自治体の財源とすることには、一つ問題があります。それは、ふるさと納税が恒久的な制度として約束されていないところにあります。制度が変わったり、なくなったりする可能性があるので、「子どもの医療費無料化」などのように、一度始めたら毎年継続しなければならない事業には使いにくいのです。これは、先に述べた「投資」に使うべき理由でもあります。そのため、ふるさと納税を恒久化すべきという声は地方を中心に多く上がっていますが、恒久化してしまうと単なる補助金となってしまい、事業者が経営努力を怠りかねないのではないか、と私は考えています。
 あくまでもこの制度は、「地方」という飛行機が自活へ向けてテイクオフするための後押しをするのがその役目です。ふるさと納税をきっかけに、地方の自治体や事業者は自助努力による活性化を目指すべきです。つまり、仮にふるさと納税制度がなくなったとしても、消費者に特産品を自腹で買ってもらえるようになるための商品価値を今のうちから高めていかなければなりません。ふるさと納税という制度は、そのための助走期間であるととらえる必要があります。
 では、ふるさと納税は今後どうなっていくと考えられるのでしょうか。
 総務省は今年4月から返礼品の還元率を3割以下にせよ、という通達を出しました。国としては自治体間の還元率競争を抑制させたい強い意向があります。しかし一方で、ふるさと納税を機に、地方の特産品が多くの脚光を浴びていることも事実です。特産品を通じて、「お金」と「モノ」が回り始めるようになりました。ここから、先に申し上げた東川町の例のように、今後は「人」の交流を意識する自治体が増えるのではないでしょうか。
 今後、ほとんどの自治体において、人口減少は不可避となっています。そこで、ふるさと納税を通じて、まちを直接訪問してもらう。そして、地域のファンになってもらい、交流人口と移住定住者を増やそうとする動きは、今後ますます加速していくでしょう。

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