ふるさと納税ニッポン!

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賛成?反対? 688人のアンケートから見る「ふるさと納税」のリアル

688人のアンケートから見るふるさと納税のリアル

オンライン書店を運営する株式会社ブークスと「ふるさと納税ニッポン!」編集部が、25~79歳の男女688人にアンケートを実施。
はたして、ふるさと納税の実態とは?

ふるさと納税の利用「あり」はわずか15%

「何、この量……」。小学校のママ友(38歳)があ然としている。
この春、宮崎県都城市(みやこのじょうし)へ2万円をふるさと納税した返礼品として、都城特産の「きなこ豚」のセット、なんと6㎏分が届いた。家族4人ではとても食べきれないので、「どれでも好きなの持ってって」とおすそ分けをしたときの一コマだ。
 彼女は、ふるさと納税のことを「テレビやネットで騒いでいる節税法」くらいの認識だった。周りでも「している人は、たぶんいない」と言う。
 でも、私の周囲は違う。ふるさと納税をしている人ばかりだ。週末のグループLINEでは、子どもと一緒に写した豪華な特産品の写真が飛び交う。都城市の特典も、知人から教えてもらった戦利品だ。
 ざっと挙げると、バラが1㎏(しゃぶしゃぶ用と焼肉用)、ロースが1㎏(しゃぶしゃぶ用ととんかつ用)、肩ロースが1㎏(しゃぶしゃぶ用と焼肉用)、小間切れが500g×3パック、ミンチが500g×3パック。これらが、タダ同然でもらえるのだ。日頃、スーパーで200gにしようか250gにしようかを迷っている彼女があ然とするのも無理はない。
 ちなみに、このママ友は都内の上場企業に勤めていて、所得が低いわけではない。この情報の偏りは、何なのか。
『ふるさと納税ニッポン!』が、日本最大級のオンライン書店「ブックファン」を運営する株式会社ブークスの協力を得て、ふるさと納税に関するアンケートを実施した。
 アンケートでは、冒頭のママ友のように「利用したことがない」と答えた人が85%。「ある」と答えた人はわずか15%にとどまった。
 ふるさと納税に詳しいジャーナリストの八幡五郎(やわたごろう)さんは、
「この数字(85%と15%)は、実態をかなり正確に表していると思います。比較する対象として適切でないかもしれませんが、国交省が先導したETC(自動料金収受システム)導入期を思い出しました。設置がめんどう、一時的に費用がかかる、操作が不安などの声があり、2004年までは利用率が20%を超えませんでしたが、その利便性が徐々に浸透し、今では90%以上の利用率になっています。ふるさと納税制度も、『確定申告が不要になった』と喧伝されています。確かに画期的ですが、そもそも確定申告をしたことがない人に対しては、その文言は心を打ちません。利用率が50%になるには、もう少し時間がかかるでしょう」
 と考察する。実際に利用したことがない理由には、「いまいち内容がわからないから」(女性・主婦・35〜39歳・既婚・子供有・年収300万円以下)、「手続きがめんどうくさそうだから」(男性・会社員・60〜64歳・既婚・子供有・年収401〜500万円)という声が特に目立っていた。

最後に後悔するのはあなた自身かも!?

 ユーザー間だけでなく、自治体間の温度差も大きい。
「地方創生の裏テーマは、自治体の生き残り競争——」
 一般社団法人つながる地域づくり研究所代表理事の一井暁子(いちいあきこ)さんは、こう指摘する(Yahoo!ニュース個人・3月19日配信記事)。
 地方創生の切り札と言われるふるさと納税にも、そのキーワードが如実に現れている。
 2015年度(平成27年度)のふるさと納税による寄付申込額の上位を見てみると、
1位…宮崎県都城市(35億円)
2位…静岡県焼津市(34億円)
3位…長崎県平戸市(26億円)
 となっている(2016年1月現在)。2014年度(平成26年度)に長崎県平戸市(ひらどし)が14億円を集め話題になったことを考えると、市場規模が急拡大しているのがわかる。
 が、その一方で2008年(平成20年)にふるさと納税制度が創設されて以来、現在まで、実績がほぼゼロに等しい(つまり寄付を集めていない)自治体があることも事実だ。
 これらの自治体に取材をすると、「ふるさと納税制度の創設主旨に反するから」「人手が足りない」「自治体の事業として優先順位が低い」という理由が返ってくることが多い。
 前出の一井暁子さんは、同記事で、
「残念ながら、このような自治体に住んでいる方は要注意です。これらの自治体は、自分たちを取り巻く現実、財政状況、地域の将来について、長期的に考えることができていない可能性が高い」「最後に後悔するのは、そこに住んでいるあなた自身かもしれません」
 と警鐘を鳴らしている。
 小誌アンケートには、「過熱している現状は、本来の目的を失っている」という、制度に対する批判意見も見られたが、自治体間でサービスを競うのは健全だという意見が多数を占めた。
 少なくとも、自分が住んでいる自治体が、何かを考えているか、生き残ろうとしているかどうかを見極める指標になるのではないか。現状の不具合を修正しつつ、努力した自治体、それを選ぶ市民が相応の得をする、そんな時代に来ているようだ。

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